受動喫煙対策 建物内の原則禁煙案に関係団体から賛否

 

 

自民党の厚生労働部会は、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にする法案について、関係団体から初めてのヒアリングを行い、日本医師会などが抜本的な受動喫煙対策が必要だとして賛同する一方、飲食業界などは一律の規制は問題だとして反対する考えを示しました。

厚生労働省は、他人のたばこの煙を吸い込む、受動喫煙の防止策を強化するため、飲食店などの建物の中を原則として禁煙にし、違反を繰り返した場合、施設の管理者や喫煙者への罰金を科すことなどを盛り込んだ法案を、今の国会に提出したい考えです。

自民党の厚生労働部会は、関係団体から初めてのヒアリングを行い、この中で、日本医師会は「受動喫煙は多くの病気の原因で、抜本的な受動喫煙対策の強化に取り組む必要があり、屋内の全面禁煙が必要だ」と述べ、法案に賛同しました。

一方、飲食や宿泊などの業界は「事業者が、客の多様なニーズにあわせて、禁煙、分煙、喫煙の環境を自由に選択できるよう、自主性が尊重されるべきだ。一律に原則禁煙とするのではなく、『分煙先進国』を目指すべきだ」と述べ、反対する考えを示しました。

また、たばこの生産・販売業界も「厚生労働省の案は明らかに行きすぎで、事業者の経営に全く配慮がない一律規制は断固反対だ」と述べました。

この法案をめぐっては、自民党内でも受動喫煙の規制の在り方などについて意見が分かれており、今後、調整が難航することも予想されます。

日本医師会 屋内全面禁煙にすべき

日本医師会の今村聡副会長は記者団に対し、「受動喫煙の害を防ぐという課題を踏まえれば、厚生労働省の案は原則として賛成だ。できれば屋内は全面禁煙にすべきであり、飲食など事業者への配慮は別の問題だ。法案の意図が、国民の健康増進だということを忘れてはならない」と述べました。

飲食業界 厚生労働省案は厳しすぎる


日本フードサービス協会の菊地唯夫会長は記者団に対し、「受動喫煙の防止強化は正しい方向だが、たばこも1つのしこう品なので、好みに合わせて利用者が選択できるべきであり、厚生労働省の規制の強化案は厳しすぎる。日本で分煙が進んでいることを評価し、喫煙か禁煙の2択にすべきではない」と述べました。