受動喫煙を防ぐための規制の範囲をめぐって厚生労働省と自民党の調整が難航していることについて、がんの患者団体などが都内で記者会見を開き、受動喫煙を防ぐには厳しい規制が必要だとして、改めて建物内を原則、禁煙にするよう訴えました。
記者会見を開いたのは、30余りのがんの患者団体で作る「全国がん患者団体連合会」や患者の支援団体など5つの団体です。
受動喫煙の対策をめぐっては、厚生労働省が一定の経過措置を経たうえでバーなどの小規模な店を除き、建物内を原則、禁煙とすることを目指している一方で、自民党内では、飲食店の経営が悪化するなどとして、規制の緩和を求める声が根強く調整が難航して今の国会に法案を提出できるか不透明な状況です。
これについて5つの団体は、子どもや妊娠している女性、それに店の従業員などを受動喫煙による肺がんや心筋梗塞などのリスクから守るには厳しい規制が欠かせないとして、原則、建物内を禁煙とするよう訴えました。
全国がん患者団体連合会の天野慎介理事長は、「建物内を禁煙とするのが世界的な流れなのに国内の議論が進まないことがもどかしくてならない。がんの患者や家族の苦しみを国民が経験せずに済むよう、一刻も早く議論を進めてほしい」と述べました。
自民党の大西英男衆議院議員は、党本部で、記者団に対し、先週、党内で受動喫煙対策を議論した際、がん患者について、「働かなくていいのではないか」と発言したことを認め、「患者や元患者の気持ちを傷つけた」として、謝罪しました。
そのうえで、大西議員は、「喫煙可能な店で働かなくてもいいのではないかという趣旨だった」と釈明しました。
今月15日に開かれた自民党の厚生労働部会で、受動喫煙対策の議論が行われた際三原じゅん子・参議院議員が、職場で、たばこの煙に苦しむがん患者の立場を訴えたのに対し「働かなくていいのではないか」とやじが出され、三原議員は、部会の様子をみずからのブログに書き込みました。
これを受けて、出席していた大西英男衆議院議員は、記者団に対し、みずからがそうした発言をしたことを認め、「私の発言で、がん患者や元患者の皆様の気持ちを傷つけたことを深くおわびしたい」と謝罪しました。
そのうえで、大西議員は、「飲食店の従業員の受動喫煙を議論した中で、喫煙可能な店で働かなくてもいいのではないかという趣旨であり、がん患者が働かなくてもいいという趣旨ではない」と釈明し、発言は撤回しない考えを示しました。
そして、大西議員は、「失言であり、厳しく戒めている。三原議員には発言の趣旨をお話ししたが、どう捉えているかはわからない」と述べました。
大西議員は、去年(3月)、所属する派閥の会合で、選挙の応援で神社を訪れたことを紹介した際に「『巫女(みこ)さんのくせに何だ』と思った」などと発言し、謝罪したほか、おととし(6月)には、党の勉強会で、安全保障関連法の議論に関連して、「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのがいちばんだ」などと発言し、党から厳重注意処分を受けました。