日本人の死因でがんに次いで多い、心臓病や脳卒中などを予防するため、国や自治体に対し、生活習慣の改善にむけた対策や、医療体制の整備などを求める、「循環器病対策基本法」が、10日の衆議院本会議で、全会一致で可決され、成立しました。
厚生労働省によりますと、心臓病や脳卒中などの循環器の病気は、喫煙や過度な飲酒、運動不足など生活習慣を見直すことで発症のリスクを下げられますが、患者は増加傾向にあり、日本人の死因では、がんに次いで多くなっています。
このため、「循環器病対策基本法」では、国や自治体などに対し、病気の予防に向け、生活習慣の改善の呼びかけや高血圧などの影響を周知するほか、地域にかかわらず、患者を迅速に搬送し、医療機関で必要な措置が受けられる医療体制の整備や、救急救命士や医療関係者らへの研修などに取り組むよう求めています。
そのうえで、こうした内容を盛り込んだ基本計画を策定し、少なくとも6年ごとに、見直しを検討するよう義務づけています。
法律は10日の衆議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、成立しました。
「助かる人が増えてほしい」
「循環器病対策基本法」が成立したことについて、脳卒中の患者からも期待の声が上がっています。
専門医や患者などでつくる日本脳卒中協会の川勝弘之理事は、14年前に脳卒中を発症し、左足のまひなどを抱えながら、脳卒中のリスクを訴える講演活動を続けてきました。
川勝理事は「脳卒中などの循環器病は、リスクがあまり知られていないために予防が意識されず、治療も手遅れになるケースが多い。新たな基本法の後押しで啓発を一層進めるとともに、すでに基本法があるがんのように、新しい治療法が次々と開発されることで、助かる人が増えてほしい」と話しています。