改正健康増進法は憲法に違反せず 喫煙者の訴え退ける 東京地裁
2022年8月29日 18時28分 NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220829/k10013793431000.html
受動喫煙対策を強化した改正健康増進法について「たばこを自由に吸う権利を奪うもので憲法に違反する」と主張して、都内の喫煙者の男性が国に賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は「必要で合理的な範囲に喫煙場所を限定していて、憲法には違反しない」として訴えを退けました。
東京
八王子市に住む喫煙者の男性は、おととし4月に全面的に施行された改正健康増進法について「飲食店や公共的な場所から喫煙者が排除され、たばこを吸いながら飲食をする自由を奪われた。たばこを吸う人を差別的に取り扱うもので憲法に違反する」と主張して、国に200万円の賠償を求めました。
29日の判決で、東京地方裁判所の新谷祐子裁判長は「受動喫煙が健康に大きな影響を与えることは科学的知見として明確で、受動喫煙防止に必要な範囲で喫煙が制限されることはやむをえない」と指摘しました。
そのうえで「たばこは生活必需品とまでは言いがたく、喫煙を楽しみながら飲食を行う自由はあらゆる場所で保障されなければならないものではない。法律は自宅やホテルの客室など私的な空間は規制の対象から外すなど、受動喫煙防止という目的を達成するために必要で合理的な範囲に喫煙場所を限定していて、憲法には違反しない」として訴えを退けました。
2022年8月29日 17時14分 朝日 https://digital.asahi.com/articles/ASQ8Y5J2QQ8YUTIL01X.html
飲食店などでの原則禁煙を義務化した改正健康増進法は個人の尊重を定めた憲法13条などに違反するとして、喫煙者の男性が200万円の損害賠償を国に求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。新谷祐子裁判長は「必要かつ合理的な規制で憲法に違反しない」として請求を棄却した。
訴訟で男性は「喫煙を楽しみながら飲食する自由を一律に制限した」「受動喫煙を防ぐ必要はあるが、喫煙専用店を認めればよい」などと訴えていた。
判決は、健康に大きな影響を与えることが明確な受動喫煙を防ぐのが同法の目的だと指摘。店舗でも、受動喫煙の被害が小さい屋外は対象外とするなど、合理的な範囲にとどめた規制だとした。「喫煙専用店」を認めれば、その店で受動喫煙が生じうるため、「法の目的に沿った規制とはおよそ認めがたい」と述べた。