東京都は制定を目指す受動喫煙防止条例案で、従業員を雇っている飲食店については店舗面積にかかわらず原則屋内禁煙にする方向で調整に入った。煙を完全に遮断するブースを設ければ喫煙を認め、設置費用を都が助成する。実現すれば都内飲食店の8割以上が規制対象になり、国の法案に比べ大幅な規制強化になる見通しだ。
都は6月に開会予定の都議会への条例案提出を目指す。
受動喫煙防止を巡っては政府が3月、事業者に対策を義務付ける健康増進法改正案を閣議決定し、客席面積100平方メートル以下の店は例外にしている。都は一時、規制対象外を30平方メートル以下とする条例案を検討していたが見送る。
従業員を雇っていない個人や家族経営の飲食店については屋内禁煙の対象外とする。ただ、子どもが出入りする店は対象にし、幼稚園や保育所、小中高校の敷地内も禁煙にする方針だ。
都は2月開会の都議会に罰則付きの条例案を提出する方針だったが、国の法案と整合性を取るため先送りしていた。
2018/4/20 15:08 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2963051020042018000000/
東京都の小池百合子知事は20日の記者会見で、制定を目指している受動喫煙防止条例の骨子案を正式に発表した。従業員を雇っている飲食店であれば、店舗面積に関係なく原則として店内禁煙とすることを柱とする。適用されれば84%の飲食店が規制対象となる。6月の都議会への提出を目指す。
小池知事は「誰もが快適に過ごせる町、東京を目指す。『人』に着目した独自のルールだ」と述べた。受動喫煙を防ぎにくい立場にいる従業員を守るとしている。
店舗面積による規制の線引きの導入は見送る。国は100平方メートル以下の店舗を例外とする規制の導入を決めた。都も当初、30平方メートル以下を例外とする独自の規制を検討していた。
幼稚園、保育所、小中高は敷地内禁煙とする。加熱式たばこも規制対象とするが、健康への影響が明らかになるまでは行政処分や罰則を適用しない方針だ。
2018/4/20 18:12 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29647050Q8A420C1L83000/
東京都の小池百合子知事の20日の記者会見での主な一問一答は以下の通り。
――条例の施行は2019年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の前に実現するのか。
「W杯、20年五輪・パラリンピックが迫っているのは事実。それに対して、十分な時間を確保していく。逆算すると、6月(開会予定)の都議会定例会で審議してもらうのがタイムスケジュールとしてふさわしい」
――政府も法案を国会に提出している。
「法律と条例との整合性をとったほうが都民も混乱がない。(対策の)立て付けを法律に合わせた。実効性ある方策にするため、これまで示してきた考え方から、パブリックコメント(意見公募)や区市町村の意見などを参考にして、変化が生じた」
――都内と都外で基準が分かれると、全国チェーンなどの事業者に負担がかかるのでは。
「条例は地方(自治体)が自治の立場で作っている。(基準が分かれる点は)受動喫煙のみに限るものではない」
――罰則規定は。
「詰めていきたい。罰則とインセンティブと両方で進むものと考える」
――喫煙場所の整備はどう支援するのか。
「事業者、区市町村が行う環境整備への支援を充実させる。どのようなことを条件に整備の補助を出すのかはしっかりと詰めたい。実効性ある公衆喫煙所の整備補助を目指したい」