受動喫煙対策、9都県市で連携 今夏にも対策 
2018/4/26 0:20 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29834950V20C18A4L83000/ 

 

 首都圏の1都3県と5政令市で構成する9都県市は25日、都内で会議を開き、受動喫煙対策の普及・啓発で連携すると決めた。受動喫煙防止条例案を発表した小池百合子都知事の提案を踏まえ、今夏にも対策をまとめる。2020年の東京五輪・パラリンピックは近隣3県にも観光客らが訪れるため広域で取り組む。

 会議に出席した小池知事は「五輪開催時には他国から多くの人が訪れる。競技会場のある自治体間で連携したい」と呼びかけた。

 詳細は今夏までに詰める。想定では喫煙規制条例だけでなく、受動喫煙対策に取り組む飲食店の認証制度を設ける自治体の取り組みを住民や観光客に周知する。飲食店ごとに禁煙、分煙などの対応を示すステッカーの統一なども検討する。

 東京都は20日、従業員を雇う飲食店を原則屋内禁煙にすることを柱とした受動喫煙防止条例の骨子案を公表。会議では都の条例案への意見も相次いだ。千葉市の熊谷俊人市長は「都と同様、自らの意志で受動喫煙を防げない従業員や未成年を守る視点で条例化を研究している」と指摘。「首都圏で対応できるよう努力したい」と語った。

 川崎市の福田紀彦市長は「屋内の規制を厳しくすると、屋外のどこでたばこを吸えばよいのか分からず困る人も出る。どんな規制、対応が必要か自治体で連携すべきだ」と言及。埼玉県は自発的に受動喫煙対策に取り組む飲食店の認証制度の創設を検討する。

 受動喫煙を巡っては、都に先立ち政府が健康増進法改正案を国会に提出済み。ただ、飲食業界をバックに持つ自民党の反発もあり客席面積100平方メートル以下の店を例外にするなど、規制が後退したとの批判もある。都の条例案は都内飲食店の84%を規制するもので、国よりも規制範囲が広いのが特徴だ。

 一方、東京都の周辺自治体には規制の強い条例案へのとまどいもある。自治体で異なる規制について、訪日観光客らにいかに分かりやすく伝えるかも課題だ。10年に先行して受動喫煙防止条例を施行した神奈川県の黒岩祐治知事は会議終了後、「国、都の案が出てきたが法整備だけすれば良いわけではない。本当に徹底できるかということが第一だ」と記者団に話した。