2018/9/5 19:30 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35015380V00C18A9TJ2000/
半導体製造装置大手のディスコや日産自動車など20の健康保険組合と医療法人、大学などがICT(情報通信技術)を使う禁煙プログラムの普及で連携する。遠隔診療を活用した禁煙外来を共同で実施して効果を検証する。大企業健保で集めた大量のデータを解析し、中小健保でも活用できる禁煙対策につなげたい考えだ。
このほど産学で禁煙コンソーシアム(共同事業体)を結成した。ディスコと日産の健保が幹事役を務め、内田洋行やカルビー、オリンパス、富士フイルム、日本マクドナルド、丸井、ブリヂストンなどの健保が参加。複数の医療法人や大学の研究者なども加わる。被保険者と被扶養者を含めた健保加入者数は合計で約56万7千人に達する。
遠隔診療は健康管理支援事業などのリンケージ(東京・港)が開発した面談システムを使う。スマホのテレビ電話機能などを通じて診察を受けて、希望する社員に禁煙に取り組んでもらう。通院する禁煙外来に比べて手間がかからず、治療の継続率が高いといわれる。
コンソーシアムに加わる様々な業種の企業が禁煙支援プログラムを展開して、データベースを構築。研究者らが分析し、参加率や継続率を引き上げるための効果的な手法を探る。ほかの健保にも応用できる汎用モデルを作り上げたい考えだ。
レセプト(診療報酬明細書)や健康診断情報を分析して健康維持や増進に生かす「データヘルス」を推進するための公募事業として、厚労省から選定された。まず今年度は3000万円の事業費を活用し、1人あたり約5万円かかる治療費の一部をまかなう。
受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が7月に成立するなど禁煙補助のニーズが高まっている。健康経営の観点からも企業健保は禁煙を支援し、医療費抑制にもつなげる狙いだ。