2018/10/4 19:00 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36130390U8A001C1916M00/
就業時間内の禁煙に踏み切る企業が増えている。島津製作所は2020年4月に就業時間内の喫煙を完全禁止にする。日新火災海上保険も19年4月から禁煙にする。外出する社員も対象で施設内禁煙よりも厳しい。政府が東京五輪・パラリンピックを見据えて受動喫煙防止対策を打ち出した中、「健康経営」を推進する民間企業の対策も新たなステージに入った。
島津は10月から就業時間のうち計2時間を禁煙時間とする取り組みを始めた。段階的に拡大し、20年4月に全面禁煙とする。子会社を含む全グループが対象で、工場や営業所も含む。営業などで社員が会社を離れた場合にも適用する。罰則は設けない考えだ。
これまで企業の禁煙は社内の一角に喫煙場所を設ける「完全分煙」がメーンだった。建物内の喫煙を禁止する「全面禁煙」も広がりつつあるが、施設だけではなく就業時間内の禁煙を定めるのは珍しい。国内企業の先駆けは15年に始めたリコーだ。生産拠点やグループ会社などのすべての社員を対象に就業時間内の禁煙を命じ、現在は全社的に浸透しているという。
帝国データバンクの調査によると、オフィスや工場など施設内を全面禁煙とする大企業は約17%。とくに製造業では工場などの生産拠点が多いため禁煙の取り組みが進んでいない。愛煙家の社員にも一定の配慮をする必要があり、業種によっては就業時間内禁煙の導入は議論を呼ぶかもしれない。