セブン―イレブン・ジャパンは東京都内のコンビニエンスストア加盟店に対し、店頭にある灰皿の撤去を要請する。来店客や近隣住民からの苦情が増えていることに対応する。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え受動喫煙対策が強化されるなか、健康配慮の姿勢を打ち出す。飲食店で増える禁煙の動きが、小売りの店頭にも広がってきた。
コンビニ大手が灰皿の大規模な撤去を加盟店に促すのは初めて。灰皿は加盟店の備品で、実際に撤去するかどうかは加盟店オーナーが判断する。
セブンは東京都内に約2700店を展開し、このうち4割弱の1千店で灰皿を置いている。3日から順次、加盟店が店頭で撤去時期などの告知文を掲出する。オーナーへの事前説明では前向きに検討するという声が多かったという。
6月に東京都議会で受動喫煙防止条例が成立して以降、セブンのお客様相談室には店頭の灰皿の撤去や店付近での禁煙を求める声が前年比で4倍に急増している。
セブンの全国2万店超のうち96%の店舗がたばこを扱っており、たばこの販売額は全体の売上高の約25%を占める。たばこは購買頻度が高く、利用客の繰り返しの来店につながる商品。灰皿を撤去した後の売り上げや客数などを検証し、撤去要請を全国に拡大するかどうかを判断する。
受動喫煙対策を巡っては、東京都の受動喫煙防止条例により20年4月以降は都内の8割以上の飲食店が禁煙になる。外食各社は「全面禁煙」か、飲食できない喫煙ブースを設ける「全席禁煙」にするかの対応を迫られている。串カツ田中ホールディングスは6月、全国のほぼ全店にあたる約190店を全面禁煙かフロア分煙にした。
一方、コンビニなどの店外に置かれる灰皿は、条例などで喫煙を禁止されている場所を除いては、都や国の受動喫煙対策で規制対象になっていない。セブンの取り組みの結果によっては、小売業界に同様の動きが広がる可能性がある。