2019/2/19付 日経 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41413070Y9A210C1CR8000/
キャンパス内に喫煙所を設置しない「全面禁煙」にするかどうかをめぐり、大学の対応が分かれている。家田重晴・中京大教授の調査によると、現時点で全面禁煙に踏み切ったのは2割にとどまる。改正健康増進法により今年夏から学校は原則として敷地内禁煙となるが、周辺での路上喫煙が増えることへの懸念もあって対応に苦慮しているようだ。
調査は家田教授が2018年10~11月、ほぼ全大学にあたる4年制の777校に直接聞いたり、ホームページで確認したりした結果を集計。その結果、186校(24%)が「全キャンパスで全面禁煙」、37校(5%)が「一部キャンパスで全面禁煙」だった。
家田教授は半年に1度の頻度で調査しており、全面禁煙の割合は10年前に比べほぼ倍増した。18年に改正健康増進法が成立。19年7月から学校や病院、行政機関の敷地内禁煙が義務付けられたのを機に、分煙から全面禁煙に切り替えた大学もあるという。
ただ法律には例外規定もあり、屋外で「表示を設ける」「人が通らない場所に設ける」など厚生労働省が示す措置をとれば喫煙所を設置できる。
九州大は19年8月末までにキャンパス内にある計50カ所の喫煙所を撤去し、9月から全面禁煙とする方針。同大の担当者は「法改正を機に禁煙を徹底し、望まない受動喫煙を防止するのが目的だ」と説明した。
18年9月から全面禁煙を予定していた中央大は同年4月から喫煙所を段階的に減らしていた。しかし喫煙所以外での喫煙やキャンパス外での路上喫煙、吸い殻のポイ捨てなどの迷惑行為が確認された。近隣住民から苦情もあったことから大学側は全面禁煙を延期。「全面禁煙とした場合の悪影響を考慮した」(担当者)とし、全面禁煙の開始時期は未定だ。
家田教授によると、いったん全面禁煙にしたものの、路上喫煙や吸い殻のポイ捨てなどを理由に分煙に戻した大学もあるという。日本学校保健学会「『タバコのない学校』推進プロジェクト」代表を務める家田教授は「『受動喫煙があってはならない』と示すとともに、学生への禁煙指導を徹底すべきだ」と強調した。