7月から屋内禁煙 東京の行政機関や学校、対応急ぐ

2019/6/13 20:00  日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46065450T10C19A6L83000/

 

受動喫煙の防止に向け、改正健康増進法に伴う行政機関庁舎や学校での屋内禁煙が7月1日から始まる。東京都内でも、都庁や早稲田大学などが6月中に喫煙所を撤去する。葛飾区は区民らの相談が多くなるとみて専用の窓口を設置した。ただ、当面は来客らへの対応で混乱も予想される。

都は28日から、都庁内のすべての屋内喫煙所(一部屋外)6カ所を閉鎖する。今後は屋外も含めて喫煙所を設置する予定はないという。都庁の喫煙所は来庁者用で都職員は使えないことになっているが、実際は吸っている職員らしき人も見かける。ある幹部職員は「都庁の外で一服できる場所を本気で探さないといけない」と不満をこぼす。

「スモークフリーは2020年五輪・パラリンピックのキーワード」(小池百合子知事)。法改正と都受動喫煙防止条例の2本立てで20年に向けて規制は段階的に厳しくなる。まず自治体が率先して取り組む。

江東区は区役所庁舎に現在3カ所ある屋内喫煙所を6月末に全て閉鎖する。改正法は要件を満たせば屋外の喫煙所は認めており、同区は屋外に1カ所設置する予定だ。江戸川区は庁舎内の屋内喫煙所2カ所を撤去する。

7月からは大学も規制対象となる。早稲田大は28日、2万5000人が通う早稲田キャンパス(新宿区)の4カ所の屋内喫煙所をすべて閉鎖する。ただ、屋外喫煙所は現状のまま減らさない。担当職員は「学生数が多く、(屋外も)すべて閉鎖すると近隣に路上喫煙で迷惑をかける可能性がある」と話す。

設置が認められる屋外喫煙所も、具体的にどういう条件をクリアする必要があるのか、判断が難しいのが実情だ。葛飾区の担当者は不特定多数の人が集まる区施設での喫煙所のあり方に悩み、5月に都の専門アドバイザーに助言を仰いだ。

喫煙スペースの取り扱いには行政の担当者でさえ戸惑う。20年4月からは飲食店なども原則屋内禁煙となるため、事業者からの問い合わせが殺到するのは必至だ。葛飾区は秋以降の一段の規制強化に備えて、相談窓口を保健所に設置した。7月中に区内の飲食店約3600店へ解説冊子の配布を予定する。

公共施設や学校で対策が進む一方、その内容がすべての人に浸透しているわけではない。完全禁煙となる都庁は1日あたり万単位の人が行き交う。都の担当者は「掲示などで来庁者に理解を求めたい」と話している。