喫煙ルール、4月からより厳しく 東京都は独自規制

2020/3/31 2:00 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57289710W0A320C2I00000/

4月1日から受動喫煙を防ぐための規制が厳しくなる。新型コロナウイルスの影響で東京五輪・パラリンピックは1年程度延期になったが、「煙のない五輪」という目標を掲げて策定された国の改正健康増進法(改正法)と東京都の受動喫煙防止条例(都条例)が全面施行される。飲食店や公共施設での喫煙ルールがどう変わるか点検する。

飲食店は? 都は8割超が禁煙に



全国の飲食店は原則として4月1日から店内が禁煙となる。(1)客席部分の床面積が100平方メートル超か(2)資本金5000万円超の比較的規模の大きな店舗――が規制の対象で、それ以下の中小・個人店では客の喫煙を認めることができる。バーやスナックなどで条件を満たせば喫煙できる店と認められる場合もある。全国の飲食店の45%が規制対象となる。

都内ではさらに「従業員がいる」店も禁煙となる。このため規制対象は都内の飲食店の84%と国全体の割合より広がる。

規制対象の飲食店内で客に喫煙してもらうには国でも都でも煙が漏れないなどの基準を満たした喫煙専用室をつくり、分煙を徹底する必要がある。

学校や幼児施設、都は屋外もNG

全国の小中高校や大学、保育園や幼稚園では、19年7月から屋内について喫煙室も設置できない完全禁煙となっている。改正法では敷地内の屋外に喫煙所を設置することはできるが、都条例では小中高校や幼児施設について屋外であっても喫煙場所を設けることを認めない。大学構内では屋外に喫煙所を設けることができる。

病院や行政機関、屋外の喫煙所は認める

病院や官公庁のような行政機関もすでに屋内は完全禁煙となった。都条例でも上乗せ規制はなく、敷地内の屋外であれば喫煙所を設けることはできる。

罰則は改正法の方が重い

罰則は改正法のほうが重い。勧告などに従わない場合、店などに最大50万円の罰則金が科される。都条例の罰則金は最大で5万円だ。

日本人の喫煙率は下がり続けている。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、1998年の成人男性の喫煙率は50.8%と過半数を占めていたが、20年後の2018年は29.0%。女性も同期間に10.9%から8.1%に下がった。

たばこはがんや脳卒中、心臓病、呼吸器疾患などさまざまな病気に関わる。受動喫煙対策を進める東京都医師会(尾崎治夫会長)は新型コロナウイルスの感染拡大の防止にも有効として禁煙を呼びかけている。