2021年2月9日 21:41 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ08BO30Y1A200C2000000/ JTが減配を発表!配当利回り・今後の株価は?
日本たばこ産業(JT)は9日、九州工場(福岡県筑紫野市)の閉鎖や人員削減を柱とするたばこ事業の再編策を発表した。正社員やパートタイマーなどを対象に計3000人規模の希望退職や退職勧奨も実施。子会社で冷凍食品製造のテーブルマークも3工場の閉鎖を決めた。国内市場が縮小するなか、合理化を急ぐ。
九州工場は2022年3月末に閉鎖する。1986年に操業を始め、20年度の生産本数は約87億本。同工場の閉鎖に伴い、国内の生産拠点は主力の北関東工場(宇都宮市)など3カ所になる。グループ会社の日本フィルター工業(東京・墨田)でも、田川工場(福岡県田川市)を22年3月末に閉鎖する。
生産拠点の削減に伴い、要員も減らす。国内のたばこ事業部門やコーポレート部門の46歳以上の社員を対象に、1000人規模の希望退職を募る。20年末時点の正社員数の1割強にあたる。パートタイム従業員も約1600人に退職勧奨を行う。定年後に再雇用した契約社員なども150人規模で希望退職を募集する。非正規従業員まで含めた人員削減は合わせて約3000人と、国内雇用者全体の2割に上る。
寺畠正道社長は9日のオンラインの決算発表会で「加熱式たばこに経営資源を集中する」と述べた。紙巻きたばこのコストを削減し、成長が見込める加熱式への投資を拡大する。JTは民営化した1985年に34工場、社員数は約3万人を抱えていたが、たばこ市場の縮小に合わせて段階的に削減してきた。
また、冷凍食品の製造・販売を手掛けるテーブルマークも香川県内の3工場を10月末に閉鎖する。契約社員など100人の希望退職も募る。閉鎖する工場の生産分を外部委託や他工場での生産に切り替える。
JTは同日、2021年12月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比23%減の2400億円になる見通しだと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にたばこの販売数量が減少する。ロシアルーブルなど新興国通貨の下落も重荷となる。年間配当予想は前期比24円減の130円とした。1994年の上場以来、初の減配となる。
売上高にあたる売上収益は1%減の2兆800億円を見込む。旅客需要の減少で免税品の販売が減少する。新興国通貨の下落や対ドルの円高進行で海外たばこ事業の収益が目減りする。国内は加熱式たばこの新商品を投入する効果で底堅く推移する。
営業利益は23%減の3630億円。株主還元方針を見直し、配当性向75%を目安として新たに掲げた。
20年12月期の連結決算は、売上収益が前の期比4%減の2兆925億円、純利益は11%減の3102億円だった。
2021/2/10のJT株の急落(終値-161円、-7.5%)
JT 日本たばこ産業は、国内のたばこ市場の成長が見込めないとして、社員を対象に1000人規模の希望退職などを行うほか、福岡県にある2つの工場を来年3月末に廃止すると発表しました。
JTは9日、たばこ事業の戦略を見直すことを発表しました。
それによりますと、国内のたばこ市場は成長が見込めないとして、国内と海外の事業を一本化し、事業本部はスイスのジュネーブに統合します。
これに伴って、社員を対象にした1000人規模の希望退職などや、定年後、再雇用している契約社員など150人の希望退職を募集するほか、1600人規模のパート社員に早期の退職を勧奨し、人員の削減に踏み切るとしています。
また福岡県筑紫野市にあるJT九州工場と、子会社でフィルターを製造している「日本フィルター工業」の福岡県田川市にある工場を来年3月末に廃止すると発表しました。
2つの工場に勤める合わせて400人余りの従業員に対しても、希望退職の募集や退職勧奨を行うということです。
日本たばこ協会によりますと、国内の紙巻きたばこの販売本数は、平成8年度の3483億本をピークに、昨年度は1181億本まで縮小しています。
さらに加熱式のたばこなどをめぐる海外のたばこメーカーとの競争も激しくなっていて、会社としては、海外市場や加熱式たばこなどの開発に経営資源を集中したい考えです。
JTの寺畠正道社長は「国内の事業量の減少や、コロナ禍もあり、不確実性が高まる事業環境を踏まえて厳しい決断をした。雇用環境が厳しいことは承知しているが、施策を先送りすると競争力強化のスピードが遅れてしまう」と述べました。