[FT]EU、電子たばこ課税を提案へ 加熱式含め全体見直し

   日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB289000Y2A121C2000000/

欧州連合(EU)は、たばこ業界への課税見直し計画の一環として、域内全体での電子たばこに対する課税を提案する考えだ。さらに、たばこ税率が低い国では物品税が2倍に引き上げられる可能性がある。EUの執行機関である欧州委員会が作成した草案で明らかになった。

EUは喫煙率の引き下げを目指しており、今回の法改正案はその取り組みの一部となる。草案では、たばこの最低物品税を20本入り1箱あたり1.80ユーロ(約260円)から3.60ユーロに引き上げる計画で、1箱3ユーロ以下で販売されている東欧諸国では価格が上昇することになる。

これは2011年のEUたばこ課税指令を改定するもので、電子たばこや加熱式たばこなどの新たな製品も課税されることになる。世界各国の当局は、若者の間で新型たばこの人気が高まっていることに懸念する姿勢を一段と強めている。

税率に違い

草案では、強めの電子たばこには少なくとも40%、弱めの製品には20%の物品税が課されることになる。加熱式たばこにも55%の税率か、販売1000個あたり91ユーロが課税される見通しだ。

HECパリ経営大学院のアルベルト・アレマンノ教授(EU法)は、電子たばこと加熱式たばこに対するEU全体の物品税の枠組みがないことが、域内全域で「たばこ規制の取り組みを弱体化」させていると指摘する。

オーストリアやルクセンブルクなど、所得水準と比較して、たばこ価格が低い国でも物品税が大幅に引き上げられる。たばこ課税の強化により、EU加盟国に93億ユーロの追加税収がもたらされる見通しだ。

EU、喫煙率の下げ狙う

EUは今回の変更を通じて、40年までに「たばこフリー世代」の実現を目指す取り組みを加速させたい考えだ。EUの保健当局は「がん克服計画(Beating Cancer Plan)」の一環として、EU市民の喫煙率を現在の約25%から25年に20%、40年には5%を下回らせたいと考えている。

欧州委員会は11月、若者の間で急増する需要を抑制するため、フレーバー付き加熱式たばこを禁止した。米国では、食品医薬品局(FDA)がジュールなど人気の高い電子たばこの禁止に動いた。

英バース大学のビジネス経済学上級講師で、たばこ規制研究グループのメンバーであるロブ・ブランストン氏は、たばこが「安すぎる」国で、価格を引き上げてインフレ率に追いつくための税制改正は「長い間先延ばしされてきた」と語る。

ブランストン氏は「これは命を救うことになる」としたうえで、「課税を通じた価格引き上げは喫煙を減らすための最も効果的な手段の一つで、最低税率の大幅な引き上げは、がんや他の病気を減らすという望ましい成果を上げるために不可欠だ」と述べた。

たばこ業界は反発

一方、業界団体である欧州喫煙たばこ協会のピーター・ファン・デル・マーク事務局長は「価格が突然急激に引き上げられれば、違法取引の温床を生みかねない」と警告している。

また、インデペンデント・ヨーロピアン・ベープ・アライアンスのダスティン・ダールマン会長は、新たなたばこ製品に課税すれば、たばこよりも「はるかに害の少ない代替品」が「多くの国であまり重く課税される」ことにつながりかねないと指摘した。

リークされた影響評価ではブルガリア、スロバキア、ポーランド、ハンガリーなど、たばこ価格が安いEU加盟国では、最低物品税の引き上げが「消費者や企業に大きな影響を与える」と記されている。

影響評価はさらに「特に依存症に陥るリスクのある若者にとって魅力的」な新たなたばこ製品に物品税を課すことは、喫煙を減らそうとする公衆衛生上の取り組みの手助けになると指摘した。

この提案が正式に法制化されるには、すべてのEU加盟国の同意を得る必要がある。世界最大のたばこメーカーの一つである英ブリティッシュ・アメリカン・タバコは、これは「長期にわたる立法プロセスの始まり」になると強調した。欧州委員会はコメントの要請に応じていない。

By Oliver Barnes and Mary McDougall, Andy Bounds

(2022年11月27日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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