電子たばこ「ジュール」 米6州などと620億円で和解

2023年4月13日 6:06 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12DZS0S3A410C2000000/ 

【ニューヨーク】米電子たばこメーカーのジュール・ラブズは12日、未成年者のニコチン中毒を助長したとして訴訟を受けていた問題をめぐり、原告となっていた米国の6州と首都ワシントンと和解に至ったと発表した。和解金は総額4億6200万ドル(約620億円)。米東部ニューヨーク州では和解金を使って未成年者の禁煙や依存を減らすための支援プログラムを拡充するほか、電子たばこの販売に規制を設ける方針だ。

ニューヨーク州や西部カリフォルニア州など米国の6州とワシントン特別区が和解に応じた。ジュール・ラブズはこれまで47の州と地域で同様の訴訟について地元自治体と和解に至っており、同社が支払った和解金は計10億ドル以上にのぼる。

広告などを通じて電子たばこの安全性について誤った印象を与え、10代を含む未成年者の喫煙増加を招いたとして訴えられていた。

ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は12日、公表資料で「あまりにも多くの若者が電子たばこを断つことができず苦しんでいる」と同社を非難した。一方ジュール・ラブズは同日「未成年者によるジュール製品の使用は19年と比べて95%減少している」と反論した。

米国では、未成年者の電子たばこ使用が深刻化している。米食品医薬品局(FDA)と米疾病対策センター(CDC)が2022年に発表したデータによると、米国の中高生のうち10人に1人(250万人以上)が電子たばこを過去30日以内に使用したことがあった。

 

米電子たばこメーカーが600億円超支払いで和解 若者向け広告訴訟

毎日新聞 2023/4/13 10:10 https://mainichi.jp/articles/20230413/k00/00m/030/049000c 

 米国の6州と首都ワシントンの司法当局は12日、未成年者に電子たばこの健康への悪影響を十分説明せずに販売を促進したとして電子たばこメーカー「ジュール・ラブズ」を訴えていた訴訟で、同社が州政府などに総額46200万ドル(約614億円)を支払うことで和解が成立したと発表した。各州は和解金を未成年者の電子たばこ依存対策などに充てる。

 東部ニューヨーク州などは201911月、若者向けの電子たばこの宣伝広告で、ニコチンを含んでおらず、健康への影響がないかのように誤解させたなどとして、ジュール社を提訴していた。電子たばこにはニコチンを含むものと含まないものがあるが、州側はジュール社の宣伝によって、若者がリスクを十分認識しないまま、ニコチンを含む製品を購入することにつながったと主張していた。

 ジュール社は12日の声明で「和解金は未成年者の利用防止や依存解消に使われる。(提訴があった)19年秋に全社的に活動を見直して以降、未成年者の利用は95%減少した」などと述べた。同社はこれまでに同様の係争で計47の州や地域と和解し、計10億ドル(約1330億円)以上を支払ったという。

 米国ではミントやフルーツの香りがついた電子たばこが10代の若者の間で流行しているが、ニコチンを含む製品を利用することによる健康被害が社会問題化。トランプ前政権は19年に液体カートリッジ装着型の電子たばこの規制に乗り出した。【ワシントン】