燃えるたばこ増税 紙巻きと加熱式が綱引き

2023年7月23日 5:00  日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA18A840Y3A710C2000000/

紙か加熱か。愛煙家の論争が霞が関でも関心を集めている。

「加熱式たばこの税制改正を実現する!」。自民党のたばこ議員連盟は5月末、臨時総会で決議文をまとめた。今は加熱式の税負担が紙巻きの約7〜9割に抑えられている。対等な競争ができる税負担にするのは、紙巻きたばこの関係者の悲願だ。会合には日本たばこ産業(JT)の担当者が姿を見せた。

日本たばこ協会(東京・港)によると22年度の国内のたばこ販売本数は紙巻きが926億本、加熱式は522億本だった。紙巻きはJTが約6割のシェアを持つ。一方、加熱式は「アイコス」を販売する米フィリップ・モリス・インターナショナルと、「glo(グロー)」の英ブリティッシュ・アメリカン・タバコで約9割のシェアを握る。

たばこは国内の市場が縮小している。加熱式たばこが先に増税されて、紙巻きたばことの価格差が縮まれば紙巻きを選ぶ人も増えるかもしれない。こんな考えが紙巻きたばこを応援する人の思いを熱くする。

 

たばこが増税されるのは、今後の防衛費の財源を確保するためだ。法人税と所得税、たばこ税の3税で27年度に1兆円強を確保する予定で、たばこは「1本当たり3円相当」の増税とすることが固まっている。

6月20日には自民党の「国民の健康を考えるハームリダクション議連」が、加熱式は健康リスク低減の可能性を秘めている製品だとして、「紙巻きたばこと加熱式たばこの増税幅に一定の差をつけている現行の課税方式を堅持すること」との提言書をまとめた。

同議連にはJTだけでなく、フィリップ・モリスやブリティッシュ・アメリカンの担当者も参加している。こちらはせっかく普及した加熱式の熱を冷まさないように懸命だ。

紙巻きと加熱式がどの時期に、どれだけ増税されるかは各社の経営戦略も左右する。財務省幹部は「増税方法は決まっていない」と話す。販売本数が伸びている加熱式から重点的に取るのか、税負担の差は維持するのか。年末にかけて攻防戦は続く。