「たばこ生涯禁止」揺れる議論 英国が検討、NZは撤回

  日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB071ID0X01C23A2000000/

【シドニー】将来を担う若い世代に対し、喫煙の生涯禁止を試みる国が出てきた。特定の年以降に生まれた人へのたばこの販売を法律で禁じ、段階的に喫煙者を減らす。もっとも業界団体などからの反発は大きく、導入は容易ではない。11月に政権交代したニュージーランドは前政権が推進した法律を撤回する方針だ。

「子どもに喫煙してほしいと思う親はいない。私はたばこを永久に撲滅したい」。英国のスナク首相はこう語る。

英国は10月、2009年以降に生まれた若い世代に対する紙巻きたばこの販売を禁止する新法を導入すると打ち出した。喫煙人口を段階的に減らすほか、若いうちに喫煙習慣を身につけるのを防ぐ狙いだ。英政府によると、同国では喫煙者の8割以上は20歳までに喫煙を始めているという。

喫煙は肺がんなどの原因となる。たばこから出る煙を吸うことで、非喫煙者にも健康被害を及ぼす。医療費の増加も問題だ。英政府は喫煙による経済損失が年170億ポンド(約3兆円)に上るとみている。世界全体では年間の経済損失が1兆4千億ドル(約200兆円)に上るとの世界保健機関(WHO)の調査結果もある。

各国はこれまでたばこに高率の税を課したり広告を禁止したりと、様々な対策を打ち出してきた。

健康被害に関する認識が一般に広まるにつれ、かつては「大人のたしなみ」とされたたばこに対する見方は変わってきている。WHOが21年に公表した報告書によると世界の喫煙率(15歳以上)は20年に22%で、00年から10ポイント減少した。今後さらに低下し、25年には20%となる見通しだ。

若者を対象にしたたばこの禁止はこうした動きを加速させるものだ。ただ、業界団体などからの反発は大きく、実現のハードルは高い。

ロイター通信によると、英国のたばこ製造者協会は政府が提示した法案に対し「成人の権利に対する不当な打撃で、闇市場でのたばこ取引を促進するものだ」と反論した。

11月末に就任したニュージーランドのラクソン首相は若者向けのたばこ禁止法を廃止すると発表した。25年に喫煙率を5%未満に減らす目標に向けて前政権が推進していた法律で、09年以降に生まれた若者へのたばこの販売を禁止し、販売店も9割削減する方針だった。

現地メディアのラジオ・ニュージーランドによると、ラクソン氏は「たばこ禁止はむしろ闇市場の拡大につながる」と話している。政府は税収の減少も防げるとしている。

マレーシアでは07年以降に生まれた人にたばこを全面禁止する計画を撤回した。現地紙などが報じた。同国の司法機関が年齢によって異なる法の適用は「不平等だ」としたことなどを受けた対応だという。

ニュージーランドの方針転換には医療関係者や保健の専門家らから批判が集まっている。オタゴ大学のアンドリュー・ワー准教授は「先住民マオリの人たちの健康を守るという観点からも新法が必要だった」と指摘する。
ニュージーランドの保健省によると、15歳以上の喫煙率は同国全体で8%であるのに対し、マオリは20%と高い。英国による植民地化とともにたばこが販売され、習慣が根付いたという。ワー氏は「ニコチンは依存性が高く、対策には強力なリーダーシップが必要だ」と話す。

 

マレーシア:たばこ製品・喫煙規制法案、下院で可決

2023年12月4日 NNA https://www.nna.jp/news/2598299

マレーシアの連邦議会下院は11月30日、発声採決により全会一致でたばこ製品・喫煙規制法案を可決した。国営ベルナマ通信などが伝えた。

法案には、未成年者へのたばこ製品、喫煙物質、たばこ代替製品の販売、喫煙のためのサービスの提供禁止が盛り込まれている。議論の的となっていた2007年以降に生まれた人の喫煙や喫煙製品の購入を生涯にわたって禁止する「世代別エンドゲーム(GEG)」の条項は削除された。

マレーシアのザリハ・ムスタファ保健相によると、喫煙による肺がんや心臓病などの非感染性疾患の治療費は、2030年に87億7,000万リンギ(約2,753億円)に上ると試算されている。同相は、推定されているたばこの売上高(30億リンギ)を大幅に上回ると指摘し、喫煙規制の意義を強調した。