2024年3月7日 17:00 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC20AY50Q4A220C2000000/
川崎市が期間限定で市内6公園を全面禁煙(加熱式たばこ含む)とした。子どもの受動喫煙防止が目的で、期間は3月から4月末までの2カ月間。対象となる公園で受動喫煙についてアンケートを実施し、今後の方針を決める。
対象は川崎区の大師公園、東渡田第2公園、東田公園、中原区の等々力緑地、こすぎコアパーク、多摩区の西菅公園。大型のほか、病院や駅に近いなど人通りの多い公園を選んだ。期間中は禁煙試行中を示す看板やポスターを掲げる。
現在、市内の公園は喫煙は禁じられていない。ただ子どもが副流煙にさらされる懸念やにおい、吸い殻のポイ捨てなどについて市に苦情が寄せられているという。神奈川県内では相模原市が2023年10月から公園や児童遊園、子どもの広場、屋外スポーツ施設などで喫煙を禁じている。
東田公園に掲げられた禁煙試行中を伝える看板(川崎市)
2024/03/16 05:00 読売 https://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20240315-OYTNT50288/
川崎市は1日から、市内6公園を試験的に全面禁煙とする実証実験を始めた。2020年の改正健康増進法施行で屋内施設は原則禁煙となったが、公園は規制の対象外。公園で遊ぶ子どもたちの受動喫煙の危険性を指摘する声があり、公園も全面禁煙としようという試みが県内の各自治体に広がってきた。
「幼い子どもを遊ばせる公園は、やっぱり禁煙にしてもらえるとありがたい」
川崎市の大師公園(川崎区)で全面禁煙の取り組みが始まった1日、3歳と0歳の子どもたちを同公園に連れてきた30歳代母親は笑顔になった。以前、歩きたばこの煙が子どもの目線にかかって不安な気持ちになったことがあるという。「受動喫煙が心配。ゆくゆくは全ての公園が禁煙になってくれたらいいのに」と話した。
法律やそれに伴う県条例の施行後も公園での禁煙はマナーに委ねられており、川崎市の各区役所には22年度に計61件の意見が寄せられた。「副流煙は健康面の不安があり(公園での喫煙の)ルールを厳格化してほしい」といった厳しい要望もあり、市はニーズを把握する実証実験に踏み切った。
大師公園など計6公園で4月末まで、パトロールでの禁煙呼びかけや公園内の受動喫煙対策に関するアンケート調査を行い、新年度にはパブリックコメント(意見公募)も実施。市みどりの管理課の担当者は「喫煙者、非喫煙者の両方から意見を聞き、今後の政策に生かしたい」とする。市は25年度には公園での禁煙を制度化したい方針だ。
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県内の他自治体でも公園禁煙の動きが進む。相模原市は昨年10月から市内全ての公園を原則禁煙とした。このほか19市のうち6市で条例などに基づき、市内の公園を全面禁煙としている。
大和市は08年に、大和駅周辺など市中心部を禁煙とする「路上喫煙の防止に関する条例」を制定。21年4月に受動喫煙による健康への悪影響を考慮した改正条例を施行し、市内の公園や路上を禁煙とした。市の担当者は「社会的な禁煙の流れの中で、子育て世帯が多い大和市では公園の禁煙も自然な選択だった」と振り返る。
横浜市は昨年10~11月に市内5公園で全面禁煙の実証実験を行い、天王町駅前公園(保土ヶ谷区)では実験実施前に30人いた喫煙者が2人まで減るなど、「禁煙を周知する効果があった」(同市の担当者)。アンケートでは半数以上の人が受動喫煙に何らかの対策を求めており、市はさらに検討を進めている。
受動喫煙に詳しい産業医科大学の大和浩教授(63)によると、風下では25メートル離れた場所でも受動喫煙の影響が確認されたという実験結果もあるという。大和教授は「これから成長する子どもの集う公園では、望まない受動喫煙を避けるために禁煙とすることが重要だ」と指摘。「公園の全面禁煙の取り組みを広げていくべきだ」と訴える。