禁煙の飲食店、全国6割 原則禁止も例外規定多く

改正健康増進法5年

2025年3月17日 14:30 日経 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO87396380X10C25A3CE0000/

多くの人が集まる場所での受動喫煙対策を強化する改正健康増進法施行後の2023年12月時点で、禁煙の飲食店は全国で約6割にとどまることが厚生労働省研究班の調査で分かった。同法は飲食店を原則禁煙とするが例外規定が多く、当初から懸念の声が上がっていた。厚労省は施行から5年となる4月以降、必要に応じて見直す予定で、専門家はより実効性のある法整備を求めている。

同法は、周囲のたばこの煙を吸うことによる健康被害を防ぐため、学校や病院、行政機関を敷地内禁煙に、飲食店などは原則屋内禁煙として20年4月に全面施行された。一方、経過措置として既存の小規模店は喫煙可能とするほか、主食を提供しない「喫煙目的店」として登録されれば喫煙を認めている。また、法令違反とみられる店もあるという。

研究班では、法施行後に開店した新規店と既存店計52万店舗の状況を民間データベースで調査。23年12月時点で全体の禁煙店は63.2%だった。既存店では59.4%、全店禁煙化されているはずの新規店でも80.3%にとどまった。

特に居酒屋・ダイニングバーでは新規店でも禁煙店が半数しかなく割合が低い。喫煙目的施設と掲げながらも、本来禁止されている主食の提供が推測される店もあり、法令が順守されていない可能性が高いという。

研究班の国立がん研究センター・片野田耕太データサイエンス研究部長は「望まない受動喫煙を防ぐという共通の理解が広まったことは法制化の一番の効果」と評価する一方「例外規定が多く、特に喫煙目的施設での違法が横行し、受動喫煙が防止されていない実態がある」と法律の見直しの必要性を訴える。

現状で限定的な規制にとどまる加熱式たばこについても、周囲の人が有害物質を吸い込む研究結果が示されているとして、国際基準の規制を実現すべきだとの見解を示した。