【オンライン診療】禁煙治療2~4回目をテレビ電話で可能に
2020/02/10 日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t318/202002/564217.html
2月7日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2020年度診療報酬改定の答申が行われ、詳細項目が明らかになった。算定要件が厳しく、対象疾患が限られていたために利用がそれほど広がらなかったオンライン診療、遠隔モニタリングに関しては、医療におけるICTの利活用を図る観点から、軒並み規制を緩和する。
オンライン診療料は、現行では特定疾患療養管理料や地域包括診療料、生活習慣病管理料などの対象患者に対して算定できるが、これに慢性頭痛の患者を追加する。ただし、事前の対面診療やCT・MRIなどの検査で一次性頭痛と診断されている患者に限る。慢性頭痛の患者に対してオンライン診療料を算定する場合、医師は適切な研修を修了しなくてはならない。
オンライン診療の実施要件も緩和する。具体的には、「事前に6カ月の対面診療を行っていること」という要件を「3カ月の対面診療」に短縮。また、へき地や医療資源が少ない地域の医療機関で所属医師が急病になるなど、やむを得ない事情がある場合は、その医療機関のかかりつけ患者に対し、同じ2次医療圏の他の医療機関で初診からオンライン診療を行ってもよいとする。
禁煙治療を評価するニコチン依存症管理料については、加熱式たばこの喫煙者も対象に含めつつ、オンライン診療を組み合わせた報酬体系も新設する。具体的には、全5回の診療のうち2~4回目はオンライン診療(155点)に代えることができるようにする。
ニコチン依存症管理料の見直し
【改定前】
ニコチン依存症管理料
1:初回 230点
2:2回目から4回目まで 184点
3:5回目 180点
【改定後】
1 ニコチン依存症管理料1
イ:初回 230点
ロ:2回目から4回目まで
(1)対面で診察を行った場合 184点
(2)情報通信機器を用いて診察を行った場合 155点
ハ:5回目 180点
2 ニコチン依存症管理料2(一連につき) 800点
今改定で新設されたニコチン依存症管理料2(800点)は、5回分の禁煙治療の医療費を初回にまとめて算定できる報酬体系で、1~5回目までを個別に算定した場合より合計点数は若干低く設定されている。
厚労省の「ニコチン依存症管理料による禁煙治療の効果等に関する調査報告書」によれば、禁煙治療を始めた患者のうち、5回分全て終えた人は34.6%(施設ごとの平均)と低い。治療を5回分受けた人は、途中でドロップアウトした人よりも禁煙成功率が高いという結果もあるため、患者に医療費を前払いさせることで最後まで禁煙治療を続けさせることを目的にした点数ともいえるだろう。なお、管理料2を算定する場合も2~4回目の治療はオンラインで可能。「2回目以降の指導予定日に受診しなかった場合は、患者に対して電話などによって、受診を指示すること。また、受診を中断する場合には、受診を中断する理由を聴取し、診療録などに記載すること」といった要件も設けられており、医療機関側からも一定の受診勧奨をすることが求められる。
遠隔連携診療料(500点)は、かかりつけ医と専門医がオンライン上で連携しながら診断することを評価する新設項目だ。算定対象はてんかん(外傷性を含む)または、指定難病の疑いがある患者で、「患者と対面しているかかりつけ医が、てんかん診療拠点病院または難病医療拠点病院の医師と情報通信機器を用いて連携しながら診断を下す」ことにより算定できる。
このほか、管理栄養士が外来で行う栄養指導も、2回目以降は情報通信機器を用いてよいとする。
各種カンファレンスをビデオ会議で開催可能に
COPD(慢性閉塞性肺疾患)に対する在宅酸素療養や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する持続陽圧呼吸療法(CPAP)を遠隔でモニタリングする際の報酬についても、要件を緩和する。現行では毎回、モニタリングに加えて適切な指導・管理が必要だが、改定案では、モニタリングを行った上で、「状況に応じて療養上必要な指導を行う」もしくは「患者の状態を踏まえた判断の内容について診療録に記載」すれば算定できるようにする。さらに、「緊急時の対応を行うために必要な体制が整備されていること」という現行の施設基準も削除する。オンライン在宅管理料は現在、月1回訪問している患者が対象だが、月2回以上訪問する患者にも行えるようにする。
医療従事者の業務効率化を図るため、ICTを用いた会議の実施についても規制を緩和する。具体的には現行では「やむを得ない事情」があればICTを用いた会合でよいとされていた感染防止対策加算、入退院支援加算1、退院時共同指導料2、在宅患者緊急時等カンファレンス料、在宅患者訪問褥瘡管理指導料、訪問看護療養費における在宅患者緊急時等カンファレンス加算を算定する際に行うカンファレンスについて、やむを得ない事情がなくても構成員がテレビ電話などで参加できるようにする。医療安全管理のための委員会、院内感染防止対策の会議、医療安全対策加算を算定するための会議も情報通信機器を用いて開催できる。