禁煙治療、慢性頭痛がオンライン診療の対象に

2020/01/29  日経メディカル https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/t318/202001/564061.html


 1月29日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、2020年度診療報酬改定の個別改定項目の概要が示された。前回の2018年度診療報酬改定で制度が確立したものの、算定要件が厳しく疾患も限られていることで利用がそれほど広がらなかったオンライン診療遠隔モニタリングに関しては、医療におけるICTの利活用を図る観点から、軒並み規制を緩和する。

 オンライン診療料は、現行では特定疾患療養管理料や地域包括診療料、生活習慣病管理料などの対象患者に対して算定できるが、これに慢性頭痛の患者を追加する。ただし、事前の対面診療やCT・MRIなどの検査で一次性頭痛と診断されている患者に限る。慢性頭痛の患者に対してオンライン診療料を算定する場合、医師は適切な研修を修了しなくてはならない。

 禁煙治療を評価するニコチン依存症管理料については、加熱式たばこの喫煙者も対象に含めた上で、オンライン診療を組み合わせた報酬体系を新設する。具体的には、全5回の診療のうち2~4回目をオンライン診療に代えることができるようにする。

 現行のオンライン診療料の実施要件で現場から「厳しい」と評価されていた項目の1つが、「事前に6カ月の対面診療を行っていること」というものだ。改定案ではこれを3カ月に短縮することが示された。また、へき地や医療資源が少ない地域の医療機関において、所属する医師が急病になるなど、やむを得ない事情がある場合は、そこのかかりつけ患者に対し、同じ2次医療圏にある他の医療機関で初診からオンライン診療を行ってもよいとする。

「遠隔連携診療料」を新設

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する在宅酸素療法や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対する持続陽圧呼吸療法(CPAP)を遠隔でモニタリングする際の報酬についても、要件を緩和する。この遠隔モニタリングは、3カ月に1回対面診療する中で、その間に月1回ずつオンライン上で管理するような使い方が想定されている。現行では毎回、モニタリングに加えてテレビ電話などを用いた適切な指導・管理が必要だが、改定案では、モニタリングを行った上で、「状況に応じて療養上必要な指導を行う」もしくは「患者の状態を踏まえた判断の内容について診療録に記載」すれば算定できるようにする。さらに、「緊急時の対応を行うために必要な体制が整備されていること」という現行の施設基準も削除する。

 このほか、オンライン在宅管理料は現在、月1回訪問している患者が対象だが、月2回以上訪問する患者にも算定してよいとする。

 「遠隔連携診療料」は、かかりつけ医と専門医がオンライン上で連携しながら診断することを評価する新設項目だ。しかし、算定対象がてんかん(外傷性を含む)または、指定難病の疑いがある患者に限られる上、「患者と対面しているかかりつけ医が、てんかん診療拠点病院または難病医療拠点病院の医師と情報通信機器を用いて連携しながら診断を下す」という、かなり限られたシチュエーションでのみ算定できる。

 さらに、診療報酬はかかりつけ医の医療機関で一旦請求し、合議によって専門医の医療機関に一部を分配する仕組み。お金のやり取りも複雑なため、普及には時間がかかるものとみられる。