2019年02月13日 06時00分 西日本新聞 https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/486346/
熊本県玉名市と玉東町が設置した公立玉名中央病院の病棟で職員の喫煙が常態化し、国が定めた「屋内禁煙」の施設基準を満たしていなかったことが分かった。同病院は、屋内禁煙を加算要件とする診療報酬を年間約2500万円受け取っていたとみられ、不正受給の疑いがある。九州厚生局は「一般的に、施設基準に合わない場合は記録が残る5年分の診療報酬の返還を求める」としている。
同病院では1月下旬、嘱託医の出勤日数を水増しして常勤と偽り「検体検査管理」の診療報酬加算約9300万円を受け取っていたことが発覚している。
複数の病院関係者によると、病棟地下のMRI(磁気共鳴画像装置)室やリネン庫近くの一角に灰皿が置かれ、医師らが喫煙。「リネン庫の衣類に臭いが付く」と院内から苦情が出ることもあり、一連の問題発覚まで続いていたという。ある関係者は「九州厚生局の定期監査に備え、喫煙の痕跡をきれいに掃除するようにと職員が清掃業者に頼んでいた」と証言した。
厚生労働省によると、屋内禁煙が診療報酬の加算要件となるのは、喫煙が治療に悪影響を及ぼす診療科。「乳幼児加算・幼児加算」「喘息(ぜんそく)治療管理料」「がん治療連携指導料」などがあり、患者が来ない場所でも喫煙すれば基準を満たしていないことになるという。
病院側は今月1日、院長と危機管理委員長の連名で「自然と集まる地下の喫煙場所や医局内も含めて建物内は禁煙。喫煙のための物品は撤去する」と幹部職員に文書で通知。屋内禁煙による診療報酬加算額は年2500万円程度とする試算や、九州厚生局による監査の予定にも触れ「当院のように(検体検査管理加算などの)問題が発覚した場合は通常よりも厳しく監査される」と記していた。
池上隆博事務部長は取材に「文書は幹部職員の気を引き締めるために配布した。(病棟地下で)喫煙する職員もいるようなので、禁煙を徹底してもらう」と答えた。