大分県警、職員禁煙へ力 敷地内や勤務時間中の一服禁止

2020/02/04 03:01 大分合同新聞 https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2020/02/04/JD0058932427

 県警が職員の禁煙に力を入れている。健康志向が高まる中でも喫煙する人の割合は30%台後半。直近の全国データ(2017年)では各都道府県警の中で最も高かった。昨年7月から全15警察署の敷地内を全面禁煙とし、本部各課も含め勤務時間中の一服を禁止するなど対策を強化。たばこを手放す職員が増える一方、「息抜きの時間が…」とぼやく声もある。
 喫煙の有無は毎年夏に実施する定期健康診断で調べている。県警の警察官、事務職員計約2400人の喫煙率は▽17年 37・3%▽18年 36・6%。県民全体の19・6%(県の16年度調査)を大きく上回った。高い理由は「分からない」(県警厚生課)という。
 男性の多い警察組織は喫煙者が多い傾向にある。全国警察の平均は33・1%(17年)。九州は大分のほか福岡や佐賀、長崎などが33~35%と高く、沖縄は20%台と平均を下回った。
 大分県警は改正健康増進法が施行された昨年7月、県内15署や運転免許センターなどの敷地内を全面禁煙にした。法律上は専用の喫煙場所を設けることも可能だが、全ての灰皿を撤去した。本部各課が入る県庁は県の方針で敷地内に喫煙スペースが残るものの、「警察職員は終日使用しない」というルールを決めた。
 職員の反応はさまざまだ。長年、ポケットにたばこを入れていた50代のベテラン捜査員の一人は「吸いにくくなった」とポツリ。昨夏以降は自宅に帰って数本をたしなむ程度になり、今は吸わなくなった。「健康には良いと思う」
 昼休みや退庁時間を過ぎた夕方に、庁舎近くの大手公園(大分市府内町)などで吸っている人も少なくない。喫煙歴30年という50代の男性警察官は「他部署の職員と顔を合わせて話す貴重な時間だが、最近は機会が減った」と漏らした。
 県警は外部講師の巡回指導や禁煙外来の紹介に取り組んでいる。厚生課の園田憲士次席(59)は「一人一人に健康で長く働いてもらいたい。昨年7月以降、数十人がたばこをやめている。まずは全国平均を下回る」と目標を掲げる。
 日本禁煙学会評議員で大分大医学部の杉尾賢二教授(61)=呼吸器外科=は、一般的に職場の上司がたばこをやめると、組織全体の喫煙率が下がる傾向にあると指摘する。
 「好きで吸っているから問題ない、という考えは誤り。煙や臭いは服に残り、家庭や職場に持ち込まれて周りに影響を与えている」と自覚を促している。