平成30年5月10日 大阪市長会見(受動喫煙防止条例部分)

2018年5月14日 大阪市長会見抜粋 http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/page/0000431717.html 

 

(前略)

産経新聞 杉記者

産経(産経新聞の略称)の杉です。受動喫煙対策についてですね、昨日、知事の会見の方で、加熱式たばこの方も規制するっていうふうなお話があったんですが、吉村市長としても同じような考えかっていうところと、あと、秋にも有識者会議を作るっていう話でしたが、これは府と市が別々に作るのか、それとも同じ有識者会議でっていうふうなのか、何かそこら辺の、今決まってる方針があればお願いします。

 

市長

まず、加熱式たばこについてもですね、これは有害な物質が出るということで、受動喫煙の被害がやっぱりあるということが科学的な意見として強いようですから、ここを今の段階で外すっていうのはやっぱりないかなとは思っています。ですので、加熱式たばこもやはり同じように扱うべきだというのが今の私の考え方でもあります。これを進めていくに当たって、やっぱり大事なのは事務方ですけども、僕自身が言い出したっていうのもありますので、大阪市の事務方をですね、府の事務方と一緒にできるようにやります。これは、市(正しくは、府)の部局の中に大阪市の部局も入っていってですね、この受動喫煙については一緒に進めていきたいと思っています。あとは、有識者の会議の設置ですけども、有識者もそうですが、やはり小売、飲食店の事業者とかの意見もやっぱり聞かなきゃいけないと思いますので、それは立ち上げるべきだと思いますが、これは、知事は、あとは事務方にという話もちょっとありましたけど、遅くとも秋にっちゅう話やったかな。僕自身はもっと早くやらなきゃいけないと思ってるので、ここは知事とも相談してですけども、できれば夏ぐらいには、僕は立ち上げるべきじゃないかということで知事と話はしていきたいと思います。いずれにしても、やはり、自分の、知事と僕の任期中にですね、これは長いスパンで、やっぱり2025年の万博というのを目標にしてですね、2025年までに段階的に実施していくっていうことにすべきだと思いますが、ただこれは、その決断というか、それを実行することというのは、僕らはコメンテーターでもないですから、政治家として実行していくべきだと思うので、僕と知事の任期中には、何とかこれを条例として可決させるような努力というのはしていきたいと思います。有識者会議については、別に府と市がバラバラに作ることはなくて、府の条例ができれば、ここは市も網にかかりますし、市域外の堺とかいろんなエリアも網にかかってきます。松井知事が府知事として受動喫煙の条例をやるというふうに判断された訳ですから、大阪市も大賛成ですんでね。ですんで、まず事務局に大阪市のメンバーが入っていく。そして、有識者も、やっぱりこれは、当然、府が主導しますけども、府の有識者会議の中でしっかりと議論するという形になると思います。有識者会議については、遅くとも秋ですけども、できれば早い段階で、夏ぐらいには設置できるように働きかけをしていきたいと思います。

 

産経新聞 杉記者

関連でもう一つ、ツイッターの方で、きれいな言葉ではないと思うんですけども、大阪はたんつぼと呼ばれていたというようなことも書かれてましたが、これは、どっかの政治家がっていうような書き方をされてましたが、かなり昔の話になるかと思いますが、森元首相の発言っていうのを念頭に置かれたというか、言っていたことを指して言ってらっしゃるんでしょうか。

 

市長

そうです。念頭っていうか、これは政治家としての森さんの発言です。誰でも知ってんじゃないですか、これ。別にオブラートに包んだ訳でもないんですけど、言えば分かる話やけど。ただ、誰が言ったかっていうのじゃなくて、そういうふうな評価で見られてた。そして、そういうのがですね、何か、僕はちょっと許せないですけども、少なくともそういうふうに言う国の政治家がいる中でですね、でも、そうはいったって、国の受動喫煙だって、自民党もだらしないじゃないですか。自民党が厚労省案として30平米以下っていうのを作ったけども、結局は、自民党の党内の、いわゆるたばこ業界の政治力であったり、あるいは小売業、飲食店の政治力であったり、そんなところでせめぎ合って、結局はできなかった訳でしょ。これはやっぱり国の自民党の中のいわゆる政治力として、そういったたばこ業界とか飲食店業界の政治力が強くて、そこに押される議員の政治力が強くて、国民の健康よりもそちらが優先された訳ですから、そら、僕は自民党はだらしないと思いますよ。それをやろうと思えば、やはり僕はそういった業界からの支援も受けてないですし、健康大事にすべきだという政党も多いと思いますから、そういうところの協力も得ながらね、大阪ではできるんじゃないか。大阪でできたら国でできないことやってる訳だから、たんつぼとか言われる筋合いないよねっていうことですよね。まず、国が率先してやれよというふうに思いますけど、それができないんであれば、やっぱり大阪として率先してやっていく。その土壌はあるんじゃないかと思ってます。だから、たんつぼとは言わせませんということを言っただけなんですけどね。だから、国はいずれにしても、法律ができますんで。まだ今、審議中ですけど、国の法律ができて、やっぱり100平米以下というのが2020年に完全実施でやると思いますから、それも見据えながら2025年までに段階的に実施できるような仕組みっていうのをね、やって。で、やっぱり、小売・飲食店業界の人たちも、いや、そんなん急にやられたらお客さんも減って大変やんかっていうのはまさにその通りやと思いますから。なんで、僕自身は、そういった飲食店業界に、別に政治的な支援を受けてる訳でもないし、そこに政治的な配慮はしないけれども、やはり営業の自由っていうところで、今はたばこ吸える状態の中での飲食店経営してんだから、ちゃんと経過措置もとってやっていってよねっていうのは、もうその通りだと思うし。本来は反対だと思いますけどね。そこに配慮して、何とか受動喫煙っていうのは駄目なんだよっていう気運を大阪の中で、そんだけ時間があれば、僕は醸成できるんじゃないかなと思ってます。まずは法律ができますから、それで、国民意識っていうのも大分変わると思うんですね。100平米であっても。やっぱり受動喫煙っていうので健康を害する人もたくさんいるし、煙を嫌がってる人もたくさんいるよと。嫌がるだけじゃなくて、現に健康被害が出て、1万5,000人の人が受動喫煙でなくなってると。これは交通事故の死亡数の3倍ですからね。それだけの被害があるんだっていうのが野放しになってるのをやめようよっていう空気がまずは出てくると思う。100平米を実施することによって。そこからやっぱり大阪でもきちんとした方向性を僕と松井知事が示せばですね、きちんとした年月をかければ、お客さんの方も、「そうだな」というふうに思ってくれるようになればですね、これは飲食店の売上にもそんなに影響を僕は与えないんじゃないのかなとも思ってます。だからそういう空気を作っていくことが、時間をかけてね、やるというのが大事だと思ってます。ただ、それは、あとの政治家に任せますよって言うたら無責任になっちゃうから、僕と松井知事で、やっぱり決めるとこは決めなきゃいけない。けども、きちんと時間をかけて気運を醸成していくっていうのが大事なんじゃないかなと思います。東京都がいろいろ、かなりお金もかけて調査をしてますけど、大体たばこ吸う人が1割5分ぐらいですか。85パーセントぐらいの人がたばこは吸わないのか。それで、受動喫煙について非常に問題だと思ってる人の割合も多いと。たばこを吸う人も、やめたいと思ってる人も多いし、受動喫煙を良しと思ってる人も多くないという現状ですから、そんな中で、きちんとした住み分けというか、それをやっていくべきじゃないかというのが僕の考えです。僕の考え方は、やっぱり、パブリックスペースにおいてはね、受動喫煙の被害っていうのは無くしていくべきなんじゃないのかなと思っています。たばこを好きな人はやっぱりいますから、それはだから、プライベートスペースにおいて、私的な空間においてやっぱり楽しめる。で、受動喫煙、公共的な、煙が嫌だよという人がやっぱりいるようなエリアにおいては、受動喫煙っていうのは無いと、無くしていくっていう、そこのバランスをとっていく必要があるんじゃないかなと思いますね。だから、東京なんかは人を基準にっていうことで、家の中の受動喫煙も禁止とかなってますけど、ただそこは、行政としてそこまで見れないですし、実効性もなかなか難しいっていうことにはなると思いますから。ただ、いわゆる公共空間、パブリックスペースにおいては、受動喫煙っていうのは原則的にはやっぱり禁止していって、健康被害を受けることがないようにね。自分が吸うんじゃなくて、他人が吸う煙によって健康被害が受けることがないようにする環境を整えていくのが大事なんじゃないかなと。今はね、今、現在でいうと、いや、いいじゃないかと思ってる人も多いと思うんですけど、そこの気運を変えていくのが大事じゃないかなと。僕も自分の父親がヘビースモーカーで、煙自体はあんまり嫌だと思わないんだけど、別に自由なんじゃないのっていう意識がちょっと個人的にはなくもないんですけど、ただ、やっぱり健康被害とか、あるいは世界の基準っていうのを考えた時にね、大阪において受動喫煙っていうのは無くしていく。煙が非常に嫌だという人も多いし、あるいは、もっと言えば、いろんなアレルギーが出る人もいるし。何より、数字を見ると、多くの人が受動喫煙で亡くなってるっていうのであればね、これはやっぱり変えていかなきゃいけないんじゃないのっていうのが基本的な考え方ですね。特に、だからそれは、僕もどっちかというと自由論者でしたけど、万博の誘致なんかしてね、いろんな世界の人と話しして、健康とか命とかっていうのを全面的にプレゼンテーションしたり個別会談してる中でね、それは特に強く感じましたね。言ってることとやってることがちゃうんちゃうかっていうのは何となくずっと思ってたところではあったんですけど。結局、自民党がやってくれたら良かったけどできへんかったじゃないですか。自民党もできてなくて、一方で小池知事ががーんと打ち出したのを見るとね、やっぱりこれはやらなきゃいけないんじゃないのというのが基本的な僕の発想ですし。だから、あとは大阪の最終的な利益にもなってくるんじゃないのかなとは思いますけどね。

 

司会

読売新聞さん。

 

読売新聞 上野記者

すいません。読売新聞、上野です。続けて受動喫煙のご質問なんですけども、少し質問が前後して恐縮なんですが、先日の、前回の市長会見で表明されて以降、知事が応じる形となりました。ツイッター等々では発信されてますが、改めて、府市連携してその方向に向かって協議を始められることについての受けとめをお願いします。

 

市長

そうですね。やはりこれは大阪市だけでやるもんでもないと思いますし、大阪府全域でやっぱりやるもんだと思いますんで、大阪府市共同でね、受動喫煙というのを、やっぱりきちんとした規制を作っていって、たばこを吸わない人も楽しめる世の中にするというのは大阪全域でやりたいと思います。そのことについて、知事はもともとやっぱり愛煙家でもあるし、国の規制以上はやる必要はないんじゃないかって思われてましたけど、知事もその必要性をご理解いただいて、大阪全域でやるのがやっぱり、自分の個人的な考え方は置いといて、大阪の利益になるという判断をされたと思うので、だからそれは、僕自身も個人的にはちょっとぐらいいいんじゃねえのと思うとこあるんだけども、大阪の全体の利益を考えると、市府一体でできるということは、僕は大きなメリットじゃないかなと思います。

 

読売新聞 上野記者

もう1点。今後、有識者会議での検討次第にはなってくるとは思うんですけれども、30平米以下の基準、ラインについては、市長個人としてのお考えとしては、もう譲れないラインなのか、ほかの、別な部分で配慮していくことなのか、あるいは30平米自体の基準自体も協議のラインと考えてらっしゃるんでしょうか。

 

市長

僕はやっぱり、30平米以下というのを一つの基準にすべきだと思ってます。何でかっていうところなんですけども、さっきもちょっと言いましたけども、いわゆる、たばこ吸いたい人はたばこ吸う自由っていうのもあって、営業者も営業の自由が当然あるんだけども、ただ、今は受動喫煙であれだけの健康被害も生じてるっていう中でですね、煙は嫌だという人も非常に多い。そういった人たちの中では、やっぱり公共スペースではやっぱりそれはやめるべきじゃないかと。それは行政という意味の公共じゃなくて、みんなが集うスペースではやっぱり基本的には原則禁止にすべきじゃないかっていうのが考え方です。でも、たばこ吸う人には吸う権利がやっぱりある訳で。禁止薬物ではない訳ですから。吸う権利もある訳ですんで、そう考えると、どっかでパブリックスペースと個人のプライベートスペースっていうのはやっぱり分けなきゃいけないなと。そう考えた時に、まずは家庭は自分のスペースにはなってくると思いますし、そんな中で、飲食店っていうのも30平米であれば非常に、当然、お客さん、入ろうと思えば入れますけども、非常に小さなバーやスナックということであれば、ある種、僕はプライベートスペースに準ずるようなとこもあるんじゃないのかなとも思ってます。ですので、いろんな食事する人が入れかわり立ちかわりするようなエリアでもないと思いますんでね。それは大阪のそこらの実態っていうのは大体そうですけども。ですから、まずはやっぱり30平米っていう、国でも一定の考え方のもとで出された数字ですから、30平米以下のバーやスナックっていうのがやっぱり僕はマストなんじゃないのっていうふうに思ってます。それをベースにしながら、多少の有識者会議とかいろんな意見で変動あるとしても、そこが簡単にぶれてしまうと違う話になりますから、やっぱりプライベート空間であればたばこ吸う権利はあるけれども、ただそこは、パブリックスペースになってくると、吸いたくない人、それは受動喫煙を受けたくない人の被害をやっぱり考えるとね、公共的なエリアとしては、そこは一つの線引きをする必要があると。これは僕は、国でも出したけども、30平米以下のバーやスナックっていうのは合理的じゃないのかなと思ってますけどね。

 

読売新聞 上野記者

そうすると、基本的には市長としては、30平米以下を前提として、合意点の模索については、先程仰ったような段階的な実施だったりとかっていう配慮策で達していきたいというお考え。

 

市長

そうですね。そう思います。それはどういうふうにしてやれば大阪の皆さんのコンセンサスを得られるのかっていうのを時間をかけて、どういう方法があるのかとかね、そういうことをじっくりやってもらったらいいと思います。ただ、ここの出発点がやっぱりぶれちゃうと、それが50なのか、100なのかってまた自民党と同じような議論になっちゃいますから、まずやっぱり、意見によっては30平米以下もなくすべきだと。狭い空間の方が受動喫煙の被害大きいじゃないかっていう、やっぱり意見もあるけども、ただやっぱり30平米以下のバーやスナックっていったら、入る方もやっぱり選べると思います。一定、プライベートな空間な要素も、言い切りはできないですけど、それに準ずるようなところもあるんじゃないかなと思うので、そこはやっぱり、たばこ吸う人の権利も考えたらありじゃないかなとは思いますけど、やっぱりそこが出発点じゃないのというふうには思いますけどね。

 

読売新聞 上野記者

そのゴールに向かって、今、想定される課題やハードル、それに対してどう対応していきたいとお考えでしょうか。

 

市長

まずはやっぱり、飲食店の業界、たばこ業界の皆さんからすると、「何で国と違う基準を大阪でやんの」っていう形になりますから、「そんなんやり過ぎやんか」という意見が出ることに対する理解を求めていくということが重要になってくると思います。だからそこは時間をかけて段階的に実施するというやり方も踏まえてね、ちょっとしっかり議論させてもらえたらなと思います。ただ、大きな方向性としては、2025年の、万博誘致できるかどうかっちゅうのは当然ありますけど、万博誘致ができれば、万博誘致の時にはね、完全に実施できるような段階策を踏んでいきたいと思いますね。少なくとも国の法律が通れば、客室の床面積が100平米以下の飲食店、100平米を基準にして受動喫煙が禁止っていうのが2020年の4月から施行されるはずですんでね、そこで一つ、国民の意識っていうのは大きく変わるんじゃないかなと。現実に、じゃ、受動喫煙を厳しくしたからお客さんが減るかというと、減らないっていうやっぱりデータも。そこはいろんな議論あると思うんですけど、急にやったら、今日のお客さんが明日いなくなるっていうのは分かるので、そこは、受動喫煙反対派からすると、そんなん、1年、2年でやれよとか言われるかもしれませんけど、それやったら、その人、1年、2年でやって見せろよと言いたくなりますけど。現実にはやっぱりそういう営業の自由を持って、やっぱり死活問題だというふうにやってらっしゃる方いますんでね、死活問題にならないように気運醸成をしていくっていうのが現実に物事を動かす側の責任じゃないかなとは思っています。何もやらへんのが一番楽ですけど、そういう訳に、やっぱりいかないんじゃないかと思ってます。

 

司会

ほかにございますでしょうか。

 

市長

やっぱり自分たちの任期中に条例っていうのは決めないとなかなか難しいと思います。これは、飲食店業界とかたばこ業界から推されてる人が市長や知事になったらできない。現に国はできてないから。それは僕や知事がいる時にですね、やらなきゃいけない、言い出してる訳ですから、ことだと思います。だから、充実した議論をするためにも、秋と言わず、夏ぐらいにでも有識者会議を設置できないかっていうのをね、知事に強力に働きかけていきたいと思います。だから、市条例じゃなく府条例になるんでしょうね。で、市の職員が入っていくっていうイメージです。僕も当然、知事と意思疎通しながらやっていきます。