2023/12/29 18:40 産経 https://www.sankei.com/article/20231229-KCLUIVG24BOODMGYEDUK25Q75I/?991497
2025年大阪・関西万博は、大阪市此花区の人工島「夢洲」に建設中の会場内が全面禁煙となり、喫煙所を設けない方向で検討されていることが29日、関係者への取材で分かった。会場外での喫煙所設置が検討されているが、会期中には約2820万人の来場を想定。過去の国際イベントでは喫煙所からはみ出すほどの混雑も見られ、分煙環境の整備や周知が今後の課題となる。
「場内での喫煙、その他火災予防上危険な行為」
万博を運営する日本国際博覧会協会が前売り券発売に合わせて公表した来場者向けの禁止行為に関する規約には、会場内を禁煙とすることが明記された。
令和7年4月に開幕する今回の万博のテーマは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。開催地の大阪府、大阪市と経済界が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」も、健康や医療に関する展示を計画している。
協会によると、こうしたテーマ性もあって、今回の万博は早い段階から「全面禁煙」の方針が固まっていたという。受動喫煙防止を優先させ、会場内には喫煙所は設けない方向で検討しているという。
一方、2021~22年に開催されたドバイ万博では会場内に喫煙所が整備されていた。協会幹部は「全面禁煙を検討したが、各国関係者から要望があり方針を転換したようだ」と明かす。
今回の万博はピーク時に1日あたり約22・7万人の来場が予想されている。世界保健機関(WHO)の2023年版の世界保健統計によると、世界の喫煙率の平均値は近年、2割前後で推移。単純計算すれば来場者のうち数万人が喫煙者と見込まれ、協会は会場外に設置する喫煙所の位置や数を検討している。
分煙環境の整備に取り組む日本たばこ産業(JT)によると、令和元年に日本で開催されたラグビーワールドカップの際は、東京会場で来場者4万人に対し大型喫煙所を2カ所設置したが混雑。エリア外にはみ出して喫煙する姿も多く見られたという。
大阪市は万博直前の7年1月から、市内全域で路上喫煙を禁止する方針。万博の会場外に設けられた喫煙所に入りきらない喫煙者が路上で喫煙をした場合は、過料の対象となる。
ただ、万博には路上喫煙が禁止されていない国からの来場者も多いとみられる。JTの担当者は「想定される喫煙者数に応じた喫煙所を整備したうえで、大阪市や会場内外の喫煙ルールを周知しないと、トラブルが起こりかねない」としている。