1日から「改正健康増進法」全面施行 自治体によりさらに厳しく…美唄市、電子たばこも規制対象に/名古屋市も

2020.4.1 05:01  サンスポ https://www.sanspo.com/geino/news/20200401/pol20040105010003-n1.html

 改正健康増進法が1日、全面施行され、たばこを取り巻く環境がますます厳しくなった。

 昨年7月に先行して学校や病院、行政機関などが敷地内全面禁煙となったのに加え、飲食店やホテル・旅館、輸送機関など、大半の施設が原則屋内禁煙(喫煙専用室の設置は可)となる。こうした全国統一ルールに対し、さらに厳しい規制を“上乗せ”する自治体もある。

 2016年7月に北海道で初めて受動喫煙防止条例を施行した美唄市は、先の定例議会でその改定案を検討・可決し、きょう施行した。大部分は改正法に基づいているが、それには含まれていない「電子たばこ」や、たばこを消した後に残留する化学物質を吸引する「3次喫煙(残留受動喫煙)」も規制対象としている

 さらに、「妊産婦や子どもと同じ空間や同乗車内での喫煙の禁止」や「屋外で公共の場を歩行中の喫煙を禁止」「公園、学校、児童福祉施設の敷地から100メートル以内の路上では受動喫煙防止に努めること(これまでは、児童生徒が登下校時に往来する校門を中心とする100メートル以内の路上、公園)」なども“上乗せ”した。

 国より厳しいルールを設けた理由を市の保健福祉部に聞くと、「条例が施行し受動喫煙の被害は減ったが、妊産婦や乳幼児などをより徹底して守るのが目的」という。条例はあくまでも市民の意識を高めるためのもので、全て努力義務であり罰則は設けないそうだ。

 名古屋市は、「子どもの受動喫煙の防止に関する基本的な考え方」をまとめ、2~3月の定例議会で「子どもを受動喫煙から守る条例案」として上程、これを可決した。こちらも、子どもと同じ空間や自動車内での喫煙を禁止、屋外における子どもの受動喫煙防止が柱で、案に挙げていた「3次喫煙」対策については取り下げた。

 こうした“上乗せ”が本当に必要なのかと疑問視する声もある。国が決めたルール(改正健康増進法)との違いに戸惑いが生じるのは確かだ。家庭内や自家用車など、プライベートな空間まで規制の手が及ぶことへの反発もあるだろう。

 そもそも国のルールが「電子たばこ」や「3次喫煙」の規制を含んでいないのは、それらによる健康影響を示す疫学的調査報告が世界的にもほとんどなくエビデンス(裏付け)が明らかではないため、法による評価を曖昧な形でしか下せないためだ。

 美唄や名古屋の他にも独自ルールを検討する自治体は多い。市民ファーストであることは言うまでもないが、単なる“上乗せ”ではなく、きちんと理由の示されたルール設定が望まれるところだ。