2019.4.4 タウンニュース https://www.townnews.co.jp/0306/2019/04/04/476319.html
多摩市が策定を目指し、多摩市議会3月定例会に提出していた「多摩市受動喫煙防止条例(案)」が3月28日に可決され、10月1日から施行されることとなった。同条例は、すでに策定された国の健康増進法、都の条例が主に屋内を対象としているのに対し、屋外での禁煙を定めたものとなっている。市では、10月1日の施行に向けて、今後、市民へ条例の周知と、受動喫煙防止、禁煙に関する啓発事業を行っていく考えだ。
受動喫煙は、がんや、虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群等の発症の危険性が高まるなど様々な質病の原因に挙げられている。子どもから高齢者まで市民の誰もが健康で幸せを感じられる「健幸都市」を目指している多摩市は、そうした受動喫煙による市民の健康への悪影響から守ることを目的として、「多摩市受動喫煙防止条例」の策定を目指していた。
市民協働で
受動喫煙については、昨年7月に健康増進法の一部が改正され、「受動喫煙対策法」が成立。東京都でも同6月に「東京都受動喫煙防止条例」が策定された。多摩市では、2016年度の市議会で条例策定の決議がなされ、市民ワークショップを開催。市民も参加する「受動喫煙防止対策市民検討会」を開くなどして条例案を検討してきた。そうしてまとめられた条例案が市議会3月定例会に提出されていた。
屋外が中心
健康増進法、都条例は、主に屋内を中心としたものとなっているのに対し、今回可決された多摩市の条例案は、屋外での禁止事項を定めていることが特徴だ=表参照。具体的には、市内の公園(都市公園)や、幼稚園、小学校、中学校、高校といった教育施設、児童館等の児童福祉施設、市が管理する施設等の敷地に隣接する市内の路上での喫煙が禁止される。また「多摩市まちの環境美化条例」で路上喫煙を禁止する「まち美化重点区域」として指定された区域(唐木田、多摩センター、永山、聖蹟桜ヶ丘の各駅周辺)が受動喫煙防止重点区域となり、同区域の路上での喫煙も禁止となる。
これらの規定に違反し、指導または勧告に従わない人には、5万円以下の過料が科されることになる。また加熱式たばこなど、煙が他人の健康を損なう恐れがあることがいまだ明らかになっていないたばこについては、当面の間、過料は科されないという。
周知と啓発を
今回、市議会で条例案が可決されたものの、一部議員からは「合法なものなのになぜここまで厳しくするのか」「屋外であれば煙は薄まるのではないか」「喫煙スポットの整備が先ではないか」などの質問や反対意見を挙がっていた。
市によると今後、多摩中央公園や多摩東公園、一本杉公園の3つの総合公園、パルテノン多摩や総合体育館、各コミュニティセンターなどの一部施設の敷地内や受動喫煙防止重点区域内で、受動喫煙が生じる恐れがない場所に喫煙スポットを整備することを検討していくという。
10月1日の施行に向けて、市では同条例の周知とともに、受動喫煙防止、禁煙に関する啓発事業を行っていくとし、禁煙を希望する人への補助事業も行っていく予定だ。