2017年9月18日 朝刊 東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017091802000107.html pdf
東京都議会最大会派の都民ファーストの会と、第二会派の公明党は二十日に開会する定例会に、全国の都道府県で初めて子どもの受動喫煙を防ぐための条例案を提出する。各会派とも論戦の準備に力を入れており、活発な議論になりそうだ。 (内田淳二、木原育子、榊原智康、唐沢裕亮)
条例案は議員提案で、自民など他会派の質問に都民ファが答弁する。都民ファと公明で過半数に達しているため成立する見通しだ。
受動喫煙被害から守る対象を子どもに絞っているのが、条例案の特徴。家庭内で子どもの受動喫煙防止に努め、子どもが同乗する自動車内では喫煙してはならないと定めている。違反への罰則はないが、私生活に踏み込む内容だ。
「家庭の中まで条例で縛っていいのか。都民ファのパフォーマンスにも見える」。自民都議は条例案を疑問視し、現在の法体系との整合性を調べていると話す。
共産党の都議は「理念は正しいが、実効性を持つ条例を作るには都民を巻き込んだ議論が必要だ」と指摘。急ごしらえの条例案で都民が置き去りとなり、関心は高まっていないと懸念する。民進党の都議は「理念はいいが、家庭内に言及する部分も含め、しっかりと議論したい」と、賛否はやはり論戦次第との姿勢だ。
都民ファと公明は八日までの十一日間、条例案への意見を公募した。計約四百件のうち「家庭内にまで行政が入るのはプライバシーの侵害だ」などの反対意見は十件程度だったという。
議員提案を増やしたい都民ファにとっては最初の大仕事。山内晃政調会長は「議員提案することでスピード感を持って政策化できる。しっかりと議論したい」と成立に強い意欲を示す。
条例が成立すれば、議員提出の政策条例では二〇一一年の都省エネルギー推進関連条例以来六年ぶりとなる。
都民ファの特別顧問を務める小池百合子知事も、受動喫煙対策に力を入れている。今回の条例案とは別に、今月八日、都として飲食店などを原則屋内禁煙とする罰則付きの受動喫煙防止条例を制定する方針を表明した。二〇二〇年東京五輪・パラリンピックを迎える前の一九年九月までの施行を目指す。
■子どもの受動喫煙防止条例案のポイント
・子どものいる家庭や学校周辺、公園などでは子どもの受動喫煙防止に努めなければならない
・子どもが同乗する自動車内では喫煙してはならない
・紙たばこだけでなく加熱式たばこも対象
・罰則はない