大手と新規店は禁煙 受動喫煙対策 飲食店の例外拡大

2018年1月30日 東京新聞夕刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018013002000260.html  

 

 厚生労働省は三十日、ファミリーレストランなどの大手チェーン店や新規開業の飲食店は原則禁煙とすることを盛り込んだ新たな受動喫煙防止のための対策案を発表した。吸う人が急増している加熱式たばこも規制の対象とする。同省は二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックまでの施行を目指し、三月にも健康増進法の改正案を国会に提出する。

 経営規模の小さな既存店で、一定の面積以下の場合、例外的に喫煙を認める。具体的な面積は明示しなかったが、百五十平方メートル以下を軸に自民党と最終調整している。当初案の三十平方メートル以下から大幅に後退、例外が拡大することに医療関係者や患者団体から反発が予想される。

 対策案によると、飲食店内は原則禁煙とし、飲食できない「喫煙専用室」を設置した場合のみ喫煙できる。

 一定の面積以下なら例外として喫煙を認めるが、店頭に「喫煙可」などと標識を掲げることを義務付ける。受動喫煙の恐れがあるスペースは、未成年者の立ち入りを禁止。法施行後の新規開業や大手チェーン店の場合は、店が狭くても喫煙は認めない。

 加熱式については、受動喫煙による健康影響がまだ明らかになっていないが、呼気などから出る煙にニコチンや発がん物質を含んでいることから規制対象とした。ただし加熱式用の「喫煙室」を設けた場合、その中でなら飲食しながら喫煙できるとした。紙巻きたばこより緩やかな規制にする。

 健康影響を受けやすい子どもや患者を特に配慮。病院や学校、大学、官公庁は原則敷地内禁煙とし喫煙専用室の設置も認めない。

◆都は条例案先送りへ 「禁煙レベル」国と食い違い

 東京都は、二月開会の都議会定例会で審議を予定していた罰則付きの受動喫煙防止条例案について提出を先送りする方針を決めた。厚生労働省が三十日発表した対策案との間で施設の種類ごとに規定する「禁煙レベル」に食い違いが生じたため。都は国の法案の内容を見極め、整合性を取るなどした上で六月開会予定の定例会への提出を目指す。

 都が昨年九月に公表した条例案の素案では、施設の種類ごとに禁煙レベルを三つに分類。(1)飲食店やホテルなどは原則屋内禁煙(2)官公庁や大学などは屋内禁煙(3)医療施設や小中高校などは敷地内禁煙-とした。

 これに対し、厚労省の対策案は(1)飲食店は原則屋内禁煙(2)官公庁や大学、医療施設、小中高校などは敷地内禁煙-の二分類とされた。このため官公庁や大学については、都の案では原則的に屋外の敷地内では喫煙できる余地があるなど、表現上の食い違いが生じている。

 また飲食店で喫煙を認める例外規定については、都の素案では面積三十平方メートル以下のバーやスナックなどに限るが、厚労省案では百五十平方メートル以下を軸に調整が図られる見通しで、都は法案の内容を見極めて検討する。

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