都内の飲食店 原則禁煙に 条例が成立 東京五輪前に施行
2018年6月28日 東京新聞朝刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018062802000150.html
従業員を雇っている飲食店を原則禁煙とする東京都の受動喫煙防止条例案は二十七日、都議会本会議で自民党以外の賛成多数で可決、成立した。国会で審議中の国の健康増進法改正案より厳しい規制内容で、東京五輪・パラリンピック前の二〇二〇年四月に全面施行する。
都によると、条例では都内飲食店の84%が規制対象になる。国の健康増進法改正案では、客席面積が百平方メートル以下などの既存店は喫煙が可能で、規制対象は全国の45%という。
条例では、従業員を雇う飲食店は原則禁煙で、煙を遮る喫煙専用室を設ければ喫煙を認める。従業員を雇っていない個人や家族経営の飲食店は、禁煙か喫煙かを選べる。罰則は五万円以下の過料。火を使わない加熱式たばこは、専用の喫煙室を設ければ飲食しながら喫煙できる。
一九年九月のラグビーワールドカップまでに一部を施行し、飲食店は禁煙や喫煙可の区分を示すステッカー(標識)を店頭に張ることが義務付けられる。罰則は全面施行の二〇年四月から適用される。
小池百合子知事は「都の方が(国より)厳しいが、世界標準からすれば、もっと厳しい国はたくさんある」と述べた。
東京都議会で今月二十一日に行われた参考人質疑では、飲食店団体と都医師会が、条例の制定で飲食店の売り上げが減るかどうかを巡り、異なる主張を展開した。
都生活衛生同業組合連合会は、神奈川県で二〇一〇年に同様の条例が施行された際、喫煙から分煙や禁煙などに変更した店のうち、40%は売り上げが減少したと指摘した。ただ、売り上げ減には〇八年のリーマン・ショックによる景気後退の影響も含まれているという。
一方、都医師会は米国ニューヨーク州では規制導入後、バーに行くようになった人の割合が18%から22%に増加したとのデータを提示。英国でも規制後、パブに行くことが増えた人の割合(17%)が、行かなくなった人の割合(14%)を上回ったとして、「喫煙者が店に来なくなっても、より多数派の非喫煙者が来やすくなるため、全体では来店者が多くなる」と訴えた。
都は今月、都民千人を対象にインターネットで世論調査を実施。飲食店で受動喫煙対策が取られた場合、今より飲食店に行くことが増えるかを尋ねたところ、「変わらない」は49・3%で、「多くなる」は48・5%、「少なくなる」は2・2%だった。都の担当者は「『多くなる』の方が、『少なくなる』より格段に多く、調査結果は来店者が増えることを示しているのでは」と話した。