禁煙スパッと先取り 都立の全動物園・水族館、公園、飲食店など

2018年7月14日 東京新聞夕刊 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018071402000248.html  pdf

 

 東京都内の動物園や公園、飲食チェーン店などで禁煙化の取り組みが広がりつつある。受動喫煙を防ぐための健康増進法改正案が近く国会で可決される見通しで、国より規制が厳しい都条例も成立した。条例はまだ施行されていないが、こうした流れを強めたり、先取りしたりする動きが出ている。 (榊原智康、清水祐樹、栗原淳)

 多摩動物公園(日野市)は今月五日から、園内二カ所の喫煙所を撤去して全面禁煙にした。一歳の長男と来園した静岡県吉田町の主婦(38)は「妊娠してから煙に敏感になり、すぐに気分が悪くなる」と評価。二歳の孫と来た八王子市の無職森井精一郎さん(66)は、愛煙家だが「孫の前では吸わないし、二、三時間なら我慢できる」と話した。

 葛西臨海水族園(江戸川区)と井の頭自然文化園(武蔵野市)も五日から全面禁煙がスタート。上野動物園(台東区)では昨年十二月から禁煙を先行実施しており、都立の動物園、水族館はすべて禁煙になった。

 都や東京動物園協会によると、こうした施設の来場者は四割が中学生以下。上野動物園には「喫煙所を再設置してほしい」といった要望が五月末までに約四十件あったが、子どもらの来園が多いことを重視し、禁煙施設を増やすことにした。

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 今年四月に施行された都の子どもを受動喫煙から守る条例では、公園などで子どもを受動喫煙から守るよう喫煙者に促しているが、罰則はない。六月に成立した都受動喫煙防止条例や国の法案にも、公園に関する規定はない。

 これに対し、二〇〇二年に全国で初めて罰則付きの路上喫煙禁止条例を制定した千代田区は、今年四月から外濠(そとぼり)公園など十七公園を区条例に基づき禁煙にした。五月からは違反者に過料二千円の罰則も適用。保育園児らの利用が多い公園などを対象にしたという。豊島区も十月から、公園や広場など五十九カ所を禁煙にする。

 都内の飲食店は都条例で二〇年四月から原則禁煙となるが、規制を先取りする動きも出ている。

 大手居酒屋チェーンの串カツ田中は六月から、全国百九十二店の九割超で全席禁煙を始めた。禁煙後の一カ月間は、客数が前年同期比で2・2%増えたが、売り上げは2・9%減った。担当者は「家族連れは増えたが、男性グループらは減少した。禁煙化をもっと周知し、売り上げも伸ばしたい」と語る。イタリアンレストランのサイゼリヤは七月二十一日からショッピングセンター内の全国二百七十五店を全席禁煙にする。

 このほか、ニッポンレンタカーサービスも十一月から、乗用車とワゴン車を禁煙にする。担当者は「臭いを気にする人が増え、予約は禁煙車から埋まっていく」と話している。

写真 全面禁煙に移行したことを知らせる案内表示=東京都日野市の多摩動物公園で