2021年8月14日 06時00分 東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/124059
研究は、他の研究者の検証を受けていない「プレプリント(査読前論文)」として6日に公開された。
研究対象は2、3月にファイザー製ワクチンを接種した同病院の職員378人。3カ月後の抗体価の中央値は、血液1ミリリットル当たり764ユニットで、20代の男女の約1000ユニットに対し、60~70代は男女とも約500ユニットにとどまった。年齢が上がるほど、抗体価は下がる傾向があった。
研究では、51~64歳の職員6人について、接種1回目の3週間後、2回目の2週間後、3カ月後の抗体価も比較した。6人とも1回目から2回目にかけて、抗体価は10~20倍に上昇したが、3カ月後には3分の1から5分の1に低下。1回目と同程度まで落ちた人もいた。
また、喫煙歴でも比較。3カ月後の抗体価は中央値よりも、喫煙歴がない人は12%高く、喫煙者の抗体価は35%低かった。禁煙した人は21%減だった。研究チームの杉山公美弥副院長は「喫煙は接種直後の抗体産生には影響しなくても、抗体の維持に影響する可能性がある」と話す。男女の抗体価の差は喫煙習慣の差とみられ、飲酒頻度では顕著な差は認められなかった。
現在流行中のデルタ株の場合、ワクチン有効率は1回接種で約3割、2回で約9割とされる。ただ、感染予防に有効な抗体価の値は公表されていない。杉山氏は「ワクチン有効率の差は抗体価のみで語れないが、抗体価は多い方が間違いなく予防できる」と分析。「ワクチン接種により、細胞が新型コロナを記憶し、感染と同時に大量の抗体を作り重症化を防ぐ可能性もある。感染と重症化を防ぐには、3回目の接種で抗体価を再び上げることが安全策となる」としている。