青森県:「受動喫煙条例」に賛否分かれる

東奥日報2020年02月04日09時00分 https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/toon/region/toon-20200204083639

 受動喫煙対策を強化する青森県条例の制定に向け、県は3日、前週に続いて青森市で公開ヒアリングを行い、事業者10団体から意見を聴いた。県医師会やたばこ問題に取り組む市民団体が賛同する一方、葉タバコ耕作や飲食店などの団体からは「国の改正健康増進法より踏み込んだ内容の条例案は厳しい」「時期尚早」との意見があり、賛否が分かれた。県の担当者は取材に対し、2020年度内の制定にこだわらず、丁寧に検討していく考えを示した。

 4月施行の改正健康増進法は、一定規模以上の飲食店や職場などを原則屋内禁煙とし、煙が漏れないよう対策を施した喫煙室の設置は可能としている。これに対して県の骨子案は、罰則規定のない努力義務として「喫煙室を設けないように努める」とするほか、特に子どもと妊婦を受動喫煙の被害にさらさないよう配慮を求める内容。

 葉タバコ耕作やたばこ販売、飲食店、パチンコなどの団体は、客離れなど経営面への影響のほか、改正法に沿って既に喫煙室を新設している現状などを報告し、「改正法に上乗せする規制は時期尚早。法に準じた対策とするべきだ」などと意見した。

 前回の8団体と合わせ、2日間のヒアリングには計18団体が出席、3団体が文書で意見を寄せた。がん死亡率15年連続全国ワーストの短命県返上へ向け、受動喫煙による健康被害をなくそうという県条例の趣旨自体に反対意見はなかった。

 意見を聞いた県受動喫煙等対策検討会の井原一成会長(弘前大学大学院教授)は「条例の主眼は県民の健康を守ることにある。多くの人が集まる施設で受動喫煙をなくしていくことは、長い目で見てそこで働く人の利益にもなる。多様な意見がある中で、理解していただけるように十分検討していきたい」と話した。