ベトナム:電子タバコ・加熱式タバコ、国会が禁止決議を採択
ベトナムの国会は30日、電子タバコや加熱式タバコ、依存性のある物質やガスの生産、売買、輸入、保管、輸送、使用を2025年から禁止する決議を採択した。
政府は国会決議を具体化する責任を負う。その一環として、アルコールやビール、タバコ、電子タバコ、加熱式タバコ、依存性のある物質やガスによる健康への影響について、国民、特に青少年向けに情報周知を行い、人々の意識を高めなければならない。
保健省は首相の指導のもと、電子タバコ・加熱式タバコの影響、特に健康への悪影響に関する情報周知に努めており、権限内の事項について規定を策定・適用する。権限外の事項については、上級機関に対策や措置などを提案することになっている。
今回の決議は保健省の提案により採択されたもの。これに関連し、同省はタバコ被害防止法の改正草案も策定していく方針。
2024年12月10日 16:00 日経 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB0959R0Z01C24A2000000/
【ホーチミン=リエン・ホアン】
ベトナムは2025年から電子たばこを禁止する。規制により、特に10代の若者などが依存する事態を未然に防ぎたい考えだ。電子たばこに対する規制は東南アジアではタイ、シンガポールに続く動きとなる。
ベトナム国会は11月末、電子たばこを禁止する決議を採択した。反対派は、電子たばこは健康への悪影響が比較的少なく、依存者の禁煙も手助けすると主張していたが、国会はいずれの主張も退けた格好だ。反たばこ団体によると、たばこ世界大手は決議に「猛烈に反対していた」という。
規制の背景には若者のたばこ依存への懸念がある。電子たばこは様々な色の製品や風味を提供しているため、新たな顧客層の開拓につながると批判されている。
11月の国会討論要旨によると、議員の一人は、たばこ消費の増加が「使用者の健康、特に若者に悪影響を与える」と懸念を示した。保健省も、電子たばこの製造や輸入、宣伝を止めるためのルールの整備に取り組むと説明していた。
世界保健機関(WHO)によると、ベトナムでは喫煙による死者が毎年10万人を超える。
ベトナムは既に映画に含まれる喫煙場面の割合を制限するといった規制を導入しているが、喫煙を続ける人は依然多い。WHOは、たばこ税が36%と世界平均の62%より低いのが一因と見ている。
米国を拠点とする非営利の反たばこ団体は「英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)や米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)のようなたばこ大手は、ベトナムや世界各地において、喫煙率を減らし、子どもを中毒から守ろうとする対策に激しく抵抗してきた。代償がなんであれ、たばこ会社は人々に喫煙を続けてもらい、より多くのたばこを売ることを望んでいる」と批判する。同団体が名指しした2社は、たばこよりも健康への影響が比較的小さい選択肢として電子たばこを推進している。
今回の決議を巡り、ソーシャルメディアでは意見が割れている。従来のたばこも禁止するよう求める声がある一方、実効性を疑う声もある。たばこ需要が高止まりしているため「違法生産や密輸の増加につながるのでは」という意見もあった。