受動喫煙防止強化案 反対議員は妊婦や子供の害も考えて
宋美玄のママライフ実況中継 2017年3月22日 Yomiuri Online YomiDR. https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20170322-OYTET50007/ pdf記事
受動喫煙防止 飲食店の原則禁煙は現実的だ
他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙による健康被害は放置できない。2020年東京五輪に向けて、対策を着実に前進させたい。
厚生労働省が公表した対策強化案を巡り、自民党内で推進派と慎重派の対立が深まっている。
厚労省案は、小中高校や医療機関の敷地内すべてと、官公庁などの建物内を全面禁煙とした。飲食店やオフィスは原則禁煙だが、喫煙専用室を設けることは認める。度重なる違反には罰則を科す。
喫煙室が設置できない小規模な飲食店のうち、主に酒類を提供するバーやスナックに限っては、例外的に喫煙可とする。
厚労省は法案化を急ぎ、今国会への提出を目指す。
現在は、健康増進法などに受動喫煙対策の規定があるが、努力義務にとどまる。非喫煙者の3~4割が、職場や飲食店で受動喫煙を強いられている。罰則付きの防止策を導入する意義は大きい。
飲食店について、自民党の慎重派議員らは、一律禁煙とせず、禁煙、喫煙、分煙の表示を義務づけた上で、各店舗の判断に委ねるよう主張している。
この手法では、喫煙できる店で働くスタッフの受動喫煙は解消されない。上司や取引先に誘われ、入店を断れないケースも想定されよう。厚労省案が原則禁煙としたのは、現実的な判断だ。
(読売新聞社説より一部引用 2017年03月14日付朝刊)
先週の読売新聞社説です。健康増進法の受動喫煙防止対策の強化案について与党内で対立が深まっているようです。厚労省の改正案は施設に応じて原則禁煙とし、罰則規定を設けたものであったのに対し、自民党たばこ議連が出した対案は、喫煙を愉しむことは憲法で定められた幸福追求権だとし、飲食店は禁煙・分煙・喫煙のうちから選んで表示を義務化すればよいと言う内容でした。
読売新聞の社説でも触れられており、また、塩崎厚労大臣も指摘しているように、この案では飲食店の従業員の健康は守られません。
■妊娠中の喫煙・受動喫煙にはこれだけの害が
普段、診療でお会いする妊婦さんたちから不安そうに相談されるのが、飲食店などに勤めていて職場での受動喫煙が気になるということです。妊娠中の喫煙により体内に吸収されたニコチン、一酸化炭素、酸化物質が胎児の脳に影響して乳幼児突然死症候群が増えたり、胎児・胎盤の低酸素状態がもたらされたり、胎盤機能が低下したりして、低出生体重児、早産、早期破水や胎盤早期剥離などが増えます。日常的に受動喫煙をすることがよくないばかりか、妊娠を機に禁煙しようとしているのに受動喫煙がその妨げとなるという声も聞きます。妊娠したことをすぐに職場に報告できて、部署を異動させてもらえるような環境であれば、まだいいのかもしれませんが、飲食店の規模や雇用形態によってはそうはいきません。
■「小規模店への影響懸念」への疑問
原則禁煙となれば小規模の居酒屋などの経営が苦しくなると心配する声があるようですが、飲食店すべてが禁煙になればライバル店に客を取られるということにはならないのではないでしょうか。それに、世の中には喫煙しない人の方が多いのですから、逆に客が増えることになるかもしれません(飲食店なのだから、たばこ目当ての客を見込んだ商売でなく、料理や飲み物の質で勝負してほしいと個人的には思います)。
他人に煙が届かない状態でたばこを愉しむ権利は守られるべきだと思いますが、自民党のたばこ議連の方々には妊婦や子供たちへの影響を訴えたいです。