2017年04月25日 09時17分 読売 http://www.yomiuri.co.jp/politics/20170425-OYT1T50018.html
非喫煙者がたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案をめぐり、厚生労働省と自民党の調整が暗礁に乗り上げ、今国会の成立どころか法案提出すら危ぶまれる事態となっている。
政府は2020年東京五輪・パラリンピックに向けた取り組みに位置づけるだけに、対策強化を支持する公明党もいらだちを募らせている。
菅官房長官は24日の記者会見で、健康増進法改正案について、「早期の法案提出に向けて厚生労働相が対応していく」と述べ、塩崎厚労相による調整を見守る考えを示した。首相官邸が慎重姿勢を取るのは、厚労省と自民党の対立がゆるむ気配がないためだ。
厚労省は16年10月、建物の中を原則禁煙にする規制案をまとめたが、自民党たばこ議連の反発を受けて、3月1日、修正案をまとめた。小規模のバーやスナックでは喫煙できるように改める内容だったが、議連は「飲食店が禁煙、分煙、喫煙のいずれかを表示し、利用客が自由に選択できる制度にすべきだ」として折り合わず、党厚労部会が開かれない状況が続いている。
厚労省が描く審議スケジュールは当初、「3月上旬の法案提出―今国会成立」だったが、算段は狂った。今国会中の法案成立には、「5月の連休明けの国会提出がタイムリミット」(厚労省幹部)との見方もある。塩崎氏は党側に「そろそろ厚労省案を聞いていただきたい」と要請しているが、法案を追加修正する譲歩を嫌い、たばこ議連も感情的な反発を強めている。
両者が歩み寄る可能性として、公明党が仲介役となるシナリオが浮上している。公明党の石田政調会長は19日の記者会見で「議論の集約をぜひ早くお願いしたい」と、異例の注文を付けた。もっとも、公明党は7月の東京都議選で自民党に対決姿勢を取り、ぎくしゃくしている与党内で調整に乗り出す余地は乏しい。自民党関係者は「行司役が不在だ」と嘆いている。
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