喫煙室新設の助成金「別の目的で使用」…不適切事案が全国130件

2019/10/8(火) 17:02配信 読売 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191008-00050111-yom-soci

 

 受動喫煙対策として屋内外に喫煙室や喫煙所などを新設した事業所に対し、国が整備費の一部を助成する制度で、喫煙室などが別の目的に使われたり、整備費が水増しされたりする不適切なケースが、全国で約130件あったことが会計検査院の調べでわかった。こうしたケースの助成額は計約8900万円に上り、今後も需要が見込まれることなどから、厚生労働省は今年5月にチェック態勢を強化した。

 この制度は、国が2011年度に導入した「受動喫煙防止対策助成金」。助成率や交付対象は年度によって異なり、現在は加熱式たばこ専用室も対象となっている。100万円を上限に整備費の2分の1~3分の2が支給されるが、非喫煙者が入ることがないよう、喫煙専用施設として使用しなければならず、5年以上の維持・管理が条件となる。

 厚労省によると、18年度までに全国の飲食店や企業、病院などに計2978件、計約29億4000万円が助成された。来年4月には受動喫煙対策を強化した「健康増進法」が全面施行され、原則屋内禁煙となる。事業者の経営判断で喫煙を認める場合、専用室の設置が必要で、今後も駆け込みの申請が増えることが予想されている。

 関係者によると、検査院は、13~17年度に助成金を受給した約2400件(助成額計約25億2500万円)を調査。その結果、助成の目的や条件が満たされていなかった約130件について不適切と判断した。

 具体的には、室内に自動販売機や冷蔵庫、飲食スペースなどが設けられ、非喫煙者も利用する可能性のある「目的外使用」が約70件あった。他には、国に報告のないまま廃止されていた「無断廃止」が約30件、整備費が過大に見積もられていた「過大受給」が約30件だった。過大受給の中には、領収書を改ざんして整備費を水増ししていたケースもあったという。

 関東地方の労働局によると、屋外に喫煙所を設置した管内のサービス業者では、使い勝手の悪さから徐々に使われなくなり、物置になっていた。この労働局の管内では、助成金の返還を求められるケースが複数あったという。また、厚労省によると、会社内に喫煙室を設置したものの、社員の禁煙が進み、無断で廃止されていたケースもあった。

 検査院の調査を受け、厚労省は不適切事案について各事業所に改善を求めた上で、喫煙所が廃止されていた場合、助成金を返還させている。今年5月には、助成金交付要綱などを改正。受給要件に「専ら喫煙の目的で」と明記し、毎年の現状報告などを追加した。

 同省は「チェック態勢に不十分な点があった。助成金が適切に活用されるよう再発防止に努めたい」としている。

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