密集、密接状態になるとして、新型コロナウイルスの感染が懸念される喫煙所を巡り、愛知県内自治体の対応が分かれている。一宮市が一宮駅前の路上喫煙所の閉鎖に踏み切ったのに対し、名古屋市は名古屋駅太閤通口にある県内最大級の路上喫煙所を存続させる。
一宮市は13日、一宮駅東口と西口の路上にある2か所の指定喫煙所を閉鎖した。看板と灰皿があるだけだが、「マスクを外すうえ、4、5人が集まると密集に近い状態になりかねない」(市清掃対策課)として、「当面の間、閉鎖」と掲示し、灰皿に覆いをかけた。
豊田市は名鉄豊田市駅周辺に設けた6か所の喫煙所のうち2か所について、「閉鎖の方向で検討中」という。
一方、名古屋市は名古屋駅太閤通口の喫煙所について、「屋根がなく換気は十分。定員40人のところ、最近は多くても20人で、密集にはあたらない」と閉鎖はしない方針。市庁舎屋上にある市職員や来庁者用の喫煙所には、新たに「1メートル以上の間隔をおくように」との貼り紙をした。
県は、本庁舎脇の植栽の中など3か所に設置している屋外喫煙所について、「密閉状態ではない」として存続を決めている。
日本禁煙学会など専門家は、屋内外の喫煙室、喫煙所について、感染リスクが高まる「密閉、密集、密接」の3密やそれに近い状態になりかねないとして、閉鎖を訴えている。7日には福井市内で会社の喫煙所で感染した事例が分かり、同学会では「懸念が現実化した」としている。
この状況から京都市では公設の屋外型喫煙所18か所、神戸市は屋内外を問わず、市が関与する全喫煙所、都内では港区や渋谷区、葛飾区が区の関与する屋外喫煙所の閉鎖を決めている。