2026/02/14 05:00 読売 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20260213-GYT1T00521/
他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙の害は、誰もが認識しているはずだ。だが、身近な飲食店などではいまだにそのリスクが残っている。踏み込んだ対策を検討したい。
大勢が集まる場での受動喫煙の防止は、かつては努力義務にとどまっていたが、2020年に全面施行された改正健康増進法で対策が強化された。
具体的には、病院や学校、行政機関については原則として敷地内での喫煙を禁じた。ただ、屋外での喫煙所設置を認めた。また、オフィスや飲食店などについては屋内を原則禁煙としたが、喫煙室を設置してもよいことにした。
受動喫煙は、肺がんのほか脳や心臓の病気のリスクを高める。法改正によって受動喫煙の害が周知されたのは前進だった。
だが、今も日常生活で受動喫煙にさらされる経験をする人は、後を絶たない。喫煙室での喫煙を容認しているほか、改正法には例外規定が多いためだ。
例えば、飲食より喫煙を主な目的とするシガーバーのような店は店頭に「喫煙目的施設」と表示することなどを条件に、喫煙可能となっている。しかし、喫煙目的施設の条件はあいまいで、保健所への届け出義務もない。
その影響で、明らかに飲食が目的の居酒屋でも、喫煙目的施設を名乗って営業している店がある。厚生労働省の調査によると、喫煙目的施設を名乗っている店の4分の1が居酒屋だった。
自治体は、飲食が目的の店は喫煙目的施設の対象外であることを周知し、指導を徹底すべきだ。
そもそも改正法に例外が多いことが、不適切な運用を招いている面は否めない。
世界保健機関(WHO)によると、受動喫煙を防ぐため屋内の全面禁煙を義務づける国は、70か国以上に上るという。
厚労省の有識者会議は現行法の見直しについて議論を始めた。さらなる規制強化は避けて通れない時代の要請だ。
また、加熱式たばこは、法改正当時は受動喫煙の影響が解明されていないとして、紙巻きたばこより緩やかな規制にとどまり、飲食しながらの喫煙が認められた。
ただ、近年、加熱式たばこでも化学物質に周囲の人が影響を受けることがわかってきた。最新の知見を踏まえた対策が急がれる。
たばこは 嗜好品ではあるが、喫煙者の健康を損なうリスクが高いことは言うまでもない。喫煙者を減らす対策も重要だ。