2026/02/27 05:00 読売 https://www.yomiuri.co.jp/local/osaka/news/20260226-GYTNT00179/
大阪市で路上喫煙が全面的に禁止されてから、1年が経過した。周知が進んだことや、違反者に対する巡回指導の強化が功を奏してか、路上喫煙をする人の割合は取り組み前に比べ、大きく低下した。一方で、喫煙所の増設を求める声は根強く、市は2026年度の予算案に今年度の1・8倍となる事業費を盛り込み、対策を行う。
■■喫煙率は減少
大阪市では、「いのち」をテーマに掲げた大阪・関西万博の開催に合わせ、路上喫煙防止条例を改正。従来、JR大阪駅周辺や心斎橋筋周辺など6エリアだった路上喫煙禁止地区を昨年1月27日から、市内全域に拡大した。道路や公園といった公共スペースが対象で、違反すれば1000円の過料が科される。
市が実施している定点調査では、通行者数に占める喫煙者数を計算した「路上喫煙率」は今年度、市内全体で0・15%と改正条例施行前の24年度(0・24%)からおよそ4割減少した。
また、市民500人を対象としたインターネット調査では、喫煙者が外出時にたばこを吸う場所は、公園や広場を含む路上喫煙は計7・2%で、22年度に実施した際の計21・4%よりも大きく低下した。市環境局事業管理課の担当者は「全面禁止の取り組みが浸透しつつあることに加え、喫煙所整備など分煙環境の充実を図ってきた効果ではないか」と述べた。
■■過料処分5倍
路上喫煙に関して昨年4月~今年1月に、市に寄せられた意見は2591件あり、目立ったのは「屋外にある灰皿の煙が気になる」といった苦情のほか「禁止されている場所で吸っているのではないか」といった取り締まりの強化を求める声だった。
昨年1月27日~同3月末に、市の指導員らが過料を徴収した処分件数は市内全域で計604件だったが、同4~11月末では計1万1880件となった。月平均では1400件超と、全面禁止直後(同約300件)の5倍近くまで増えた。
市は指導員らを改正条例施行前の74人から順次増員し、今月1日時点で91人の体制とした。人通りの多い道路沿いや主要駅周辺を重点的に巡回するようにしたといい、市はさらなる増員を予定している。
■■全体の半数近く
路上喫煙に関する市議会への陳情は今年度95件(今月20日時点)と、全体(201件)の半数近くを占めており、根強いのは、喫煙所の拡充を求める内容だった。
市は全面禁煙を機に、民間事業者と合わせて193か所(今月1日時点)の喫煙所を整備。パチンコ店などにある喫煙所の無償開放などを含め、計431か所を確保したという。
昨年12月には、人流の多さや過料処分件数から対策の優先度が高いとする63エリアで、喫煙所を新設し、一部では指導員らの巡回強化などを行う方針を公表した。対象エリアには、宗右衛門町やアメリカ村、千日前商店街(いずれも中央区)、天王寺駅、大正駅、阪急上新庄駅(東淀川区)、オレンジストリート(西区)、桃谷商店街(生野区)が選定されている。
■■民間も独自対策
民間も独自の取り組みに乗り出している。市内の商店街でつくる市商店会総連盟は昨年11月、滞在人口などから市内全体では837か所の喫煙所が必要との独自の試算結果を公表。その上で先月、喫煙所や灰皿の維持管理費として、1か所あたり4万8000円を補助する制度を設けた。
千田忠司理事長は「喫煙所不足は各地の商店街から聞かれ、訪れる人の安全を守るためにも、行政任せではなく自主的に対策を取ることにした」と話す。
市は26年度当初予算案に路上喫煙対策として20億7900万円を計上しており、横山英幸市長は26日、記者団に「路上喫煙の禁止の方針を打ち立てたが、喫煙スペースの確保も重要。優先順位をつけながら取り組みを進めていきたい」と述べた。