2020.3.2 https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200302/dom2003020007-n1.html
飲食店を原則屋内禁煙(喫煙専用室の設置は可)とするなどの改正健康増進法の全面施行が4月1日に迫った。この機に独自のたばこ規制を設けようという自治体もある。改正法では“不十分”と思われる点を補おうというのが主な理由だ。
2016年7月に北海道で初めて受動喫煙防止条例を施行した美唄(びばい)市も、同様の理由で一部改定を進めている。大部分は改正法を基準にしているが、それには含まれていない「電子たばこ」や、たばこを消した後に残留する化学物質を吸引する「三次喫煙(残留受動喫煙)」も規制の対象とする意向だ。
さらに、「妊産婦や子どもと同室の空間や同乗車内での喫煙の禁止」や「屋外の公共の場を歩行中の喫煙の禁止」「公園、学校、児童福祉施設の敷地から100メートル以内の路上では受動喫煙防止に努める(これまでは、児童生徒が登下校時に往来する校門を中心とする100メートル以内の路上、公園)」なども改正案に追加した。
国が定めた規制より厳しくする理由を市の保健福祉部に聞くと、「条例の施行以降、受動喫煙は減少しているものの、受動喫煙を自らの意思で避けるのが困難な人、とりわけ妊産婦や乳幼児などをより徹底して守るのが目的」(村橋健康推進課長)とのこと。“上乗せ分”は全て「努力義務」として罰則は設けないという。
厳しい規制は、住宅が密集していたり人の多く集まる都市部ならわかるが、“北の大地”でそこまで徹底する必要があるのかという声もある。美唄市の人口密度は76・2人/平方キロメートル。人が最も多いJR美唄駅周辺も、道幅は広く、200~300メートル行けば、建物同士が接近している場所はほとんど見られなくなる。「敢えて厳しい規制を設けることで、受動喫煙防止に対する市民の意識を高めたい」と担当者は語る。
美唄市以外にも、国の改正法より厳しい規制を図る自治体はある。そのいずれも、市民から法と条例の内容の違いに戸惑う声が上がっているのも確かだ。美唄市では「多少の混乱はあると思うが、時間をかけて浸透させていきたい」と条例の周知に力を入れていくという。