フランス、ビーチや公園で禁煙に 子どもの受動喫煙対策
配信 AFP,時事 https://news.yahoo.co.jp/articles/95cf83e250daa77cf230061a96a2030a7643bf02
【AFP=時事】受動喫煙から子どもを守ることを目的とした新規制により、フランスでは29日から、ビーチや公園での喫煙が禁止となる。
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28日に政府の官報に掲載され、29日に施行されるこの禁止令は、バス停の他、図書館、プール、学校の周辺地域も対象する。
フランスで夏休みが始まる1週間前にこの禁止令を導入するのは、ビーチなどで子どもたちを受動喫煙から守るためだ。
しかし、一部の反たばこ活動家にとって残念なことに、この禁止令は多くのフランス人が喜んでたばこを吸うバーやレストランのテラスには適用されない。
また、電子たばこが禁止対象にならないことにも不満の声が上がっている。
違反した場合、最低135ユーロ(約2万3000円)、最大700ユーロ(約12万円)の罰金が科される可能性がある。
フランス全土で公園やビーチなど子どもが出入りする場所での屋外喫煙が禁止に 15歳以上の喫煙率は34.6%…子どもたちを「喫煙のない世代」にする狙い
配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/026b21b335876c3676089ad3e86603459de5483b FNN
フランス政府は29日から、公園やビーチなど子どもが出入りする場所での屋外の喫煙を全土で禁止しました。
29日から喫煙が禁止されたのは公園や学校の周辺やバス停のほか、図書館やスポーツ施設など、子どもが出入りできる施設の屋外です。
WHO=世界保健機関によると、2022年時点での15歳以上のフランス人の喫煙率は34.6%で、19.2%の日本人と比べると高い水準となっています。
政府はフランス国内で1日あたり200人以上が喫煙により死亡していると指摘していて、今回の取り組みは子どもを受動喫煙から守ることや、今の子どもたちを「喫煙のない世代」にする狙いがあります。
違反者には今後135ユーロ、約2万2000円の罰金が科される可能性がありますが、パリの人たちの評価はさまざまです。
肯定派の市民:
私にとってはあまり困ることではありません。むしろ、子どもたちを守るという点で良いことだと思います。
否定派の市民:
もしかすると、公園なら(禁煙の)効果があるかもしれませんが、正直言ってフランス人の性格を考えると、この法律がちゃんと守られるとはあまり思えません。罰金がたくさん課されるなら別ですが。
法律が施行された29日も、公園では喫煙を続ける人が…。
喫煙者:
普通に考えて、公園でタバコを吸うことって、そこまで悪いことじゃないと思うんです。もう少し理解を示してくれるといいんですけどね。法律で決まっているからといって、それが必ずしも道徳的に正しいとは限りません。それが僕の考えです。
子どもを受動喫煙から守ることが出来るのか、実効性のある取り組みが期待されます。
7月からフランスで禁煙令! 世界で年間800万人の死因=タバコから子どもを守る
配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/e44e7d4ce3fd5ca35d03aa474b3ba19edfd82720
7月1日からフランスでは新たな禁煙令が開始
フランス政府は2025年7月1日から、ビーチ、公園、バス停、学校の外、スポーツ会場など、子どもが出入りする可能性のある屋外の公共の場所での喫煙を全面的に禁止します。この新たな禁煙令は、違反者に最大135ユーロの罰金を科す厳しい措置です。
カフェのテラスでの喫煙や石畳の道での歩きたばこが文化の一部とも言えるフランスで、なぜこのような規制が導入されたのでしょうか。
子どもの健康を守るため
今回の禁煙令の主な目的は、子どもたちの健康を守ることです。フランスの保健相であるカトリーヌ・ヴォ―トラン氏は「子どもがいる場所から、たばこをなくさなければならない」と強調しています。
フランスでは、喫煙は個人の自由として尊重されてきた歴史がありますが、ヴォ―トラン氏は「子どもたちがきれいな空気を吸う権利」を強調し、喫煙の自由よりもこの権利が優先されると述べています。
特に、子どもたちは自分の意志でたばこの煙を避けることが難しいため、こうした環境を整えることが社会全体の責任とされています。
受動喫煙のリスクを減らす政策が徐々に進んできた
フランスでは、近年、公共の場での喫煙規制が段階的に強化されてきました。2007年には、職場やレストラン、バーなどの屋内公共施設での喫煙が禁止され、2016年には車内での喫煙(特に子どもが同乗している場合)も禁止されました。
これらの規制は、受動喫煙のリスクを減らし、公衆衛生を向上させるためのもので、今回の屋外での禁煙令は、この一連の流れをさらに進めたものです。
たばこは世界中で毎年800万人の死因に
世界保健機関(WHO)によると、たばこは世界中で毎年800万人以上の死因となっており、受動喫煙もその一因です。
たばこの煙には、ニコチンやタール、一酸化炭素など、発がん性物質を含む有害な化学物質が含まれています。これらの物質は、喫煙者だけでなく、近くにいる人々、特に発育途中の子どもたちに深刻な健康リスクをもたらします。
受動喫煙による影響は、喘息や呼吸器疾患、アレルギー、さらには長期的な健康問題を引き起こす可能性があり、子どもたちが頻繁に訪れる場所での喫煙を禁止することで、彼らの健康を優先しようというのが政府の狙いです。
またこの規制は、子どもだけでなく大人も含めたすべての人がより清潔で健康的な環境で過ごせることを目指しています。
喫煙文化が根強いフランスも、子どもたちが安心して過ごせる国に
フランスの新たな禁煙令は、子どもたちの健康と権利を最優先に考えた政策です。たばこの煙から子どもを守り、きれいな空気を確保することは、未来の世代を育むための重要な一歩。
喫煙文化が根強いフランスでのこの決断は、公衆衛生を重視する世界的な流れとも一致しています。
7月1日から施行されるこの規制により、フランスのビーチや公園は、子どもたちが安心して過ごせる場所へと変わっていくでしょう。
【国際政治先生】国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。
禁煙スペースの拡大と子どもと大人の世界の棲み分け
2025/06/30 https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/rikamama/2025/06/post-88.php
6月28日付け官報に掲載された法令によれば、6月29日から、フランス全土におけるビーチ、公共の公園、庭園、バス停、また、図書館、スポーツ施設、学校、未成年者を受け入れる施設の周囲10メートル以内での喫煙が禁止されます。特に、これからバカンスシーズンに突入するタイミングでは、このビーチにおける禁煙措置については、注力されるものと見られています。この禁止令は、主に子どもたちを受動喫煙から守ることを目的としたもので、カフェやレストランのテラスには適用されず、電子タバコについても触れられていません。この禁止令に従わない場合は、最終的には第4級の罰金、つまり135ユーロが科せられる可能性がありますが、同時に当面の間は、教育期間を設けるとしています。
2032年までにタバコのない世代という課題に取り組む
私がフランスに来た当初、驚いたのは、とにかく喫煙率が高く、特に歩きタバコをしている人が多いことでした。それは、受動喫煙云々はもちろんのこと、子どもを連れて歩いていたりする場合、まず歩いていて危険で、あまり周囲のことをうるさく思わない私でさえも、「あっぶないな~」と思うこともしばしば、ありました。
しかし、ここ最近では、目に見えて、喫煙者は減少。歩きタバコをしている人には滅多にお目にかからなくなったし、街中でタバコを吸っている人を見かけることは極端に減った印象です。それは、人々の健康への意識が高まっていることもあるとは思いますが、一番の理由は、タバコの価格が異様に高騰したことにあるような気がします。
毎年、少しずつではありますが、確実に高騰しているタバコの1箱の価格は、2025年1月からは、1箱 約
11.50ユーロ(現在のレートだと約2,000円)で、日常的にタバコを吸うことは、庶民の経済を圧迫するものになったと言えます。
フランス薬物中毒動向観測所(OFDT)によれば、フランスでは喫煙率が着実に減少しており、「2000年以降で最低の喫煙率」を記録しています。OFDTによると、2023年に18歳から75歳までの成人のうち毎日喫煙していると答えた人は4分の1未満でした。喫煙は年間、75,000人の死を引き起こし、社会に年間1,560億ユーロの損失をもたらしています。また、公式統計?によると、フランスでは、受動喫煙により、年間3,000人から5,000人が死亡しています。今回の喫煙に関する禁止法令には、未成年者に対するタバコや電子タバコ製品の販売に対する罰則も強化され、現在では、第5級犯罪に該当し、罰金200ユーロが科せられることになります。
そもそも罰金のない規則は規則ではないようなところのあるフランスでは、法令は罰金、罰則とともにある気がします。
しかし、これだけすでに減少している喫煙者に対しての喫煙場所を特定しての禁止法令を設けるということは、これは、さらに、「タバコのない世界」を目指していることによるようです。
とはいえ、この禁煙に対する動きは、たまに日本に行くと、いつの間にか、街中からタバコがほぼほぼ消えているようで、日本での、その徹底ぶりには驚かされます。パリでは、街中には、やたらとゴミ箱がありますが(逆に日本には、どうして、こんなにゴミ箱がないのに、街がきれいなんだろう?と驚きますが・・)、そのゴミ箱には、ご丁寧にタバコの吸い殻を消すプレートのようなものがついていたり、灰皿のようなものがついている場合も少なくありません。恐らく、今回の子どもの居うる場所での喫煙禁止令が出たとしても、日本のように街中から一切のタバコが消えた感じ・・にはならないような気がします。
今回の法令から感じる子どもの場所と大人の場所の棲み分け
特に、今回の法令では、その第一の目的は、「子どもの受動喫煙から守る」ことで、保健相は、「子どもがいるところからタバコは消えなければならない」、「子どもがきれいな空気を吸う権利が始まるところで喫煙の自由は終わる」と語っています。
なにかというと、それぞれの立場の人々が権利をふりかざすフランスらしい言い方ではありますが、これは大人の喫煙する権利も同時に尊重するものであることを示すためにも、カフェやレストランのテラスにはこの法令が及んでいないのかもしれません。また、フランス・ホテル・レストラン協会は、「やみくもな禁止措置は問題を転嫁するだけで、喫煙者と非喫煙者は社交と自由が保たれる最後の場所であるレストランやカフェのテラスでは共存できる」と意向を表明しています。
そもそも、フランスでは、もちろん禁止されているわけではありませんが、大人の場所には、子どもを連れて行かない・・大人の場所と子どもの場所は区別されているという印象があります。バカンス地やファミリーレストラン(ファミレスというものはフランスには、あまりありませんが・・)ならいざ知らず、あまり小さい子どもを連れて、食事には行きません。夜、夫婦で食事に行ったりする場合も子どもは預けて出かけます。日中のカフェやレストランのテラスなどでも、観光客は別としても、そういえば、あまり子どもを見かけることはありません。大人の場所と子どもの場所の棲み分けができている感じがします。
とはいえ、大人が子どもと一緒の時間を過ごさないというわけではなく、これから始まる夏の長いバカンスを見ても、家族でバカンスに出かけ、長い時間を子どもと過ごすのもまた、フランス人で、フランス人はこのバカンスを一年の最大イベントとして捉えているようなところもあります。
こうして見ていくと、ほぼほぼ公共のスペースでの喫煙が許されなくなっている中、カフェやレストランのテラスでは、かろうじて、その場を保っていることを考えれば、フランスにとってのこの場所は、ある意味、特別な存在であるのかもしれません。カフェのテラス席を見ていると、ぼんやり本や新聞を読んでいる人、通りゆく人を眺めている人、そして、一番、多いのは、ものすごい勢いで前のめりになって話しをしている人々です。それぞれが、気ままに自由に時を過ごす場所、そこがカフェの醍醐味でもあり、フランス人のソウルのような気もするのです。
とはいえ、そのうち、これだけ、禁煙の波が拡大していく世の中に育った子どもたちが大人になる頃には、もしかしたら、本当にタバコのない世界がやってくるかもしれません。しかし、急激に全てを排除するのではなく、どこかに砦を残して、共存できる場所を保っていくようなやり方は、フランスらしい気もします。
この法令が施行されたことを昨日のニュースで報じていましたが、これがあまりにショッキングではないことを強調するためか、今ではあたりまえのようになっている飛行機内での喫煙が、かつては、認められていたこととか、屋内のレストランでもあたりまえのようにタバコが吸われていたとか、当時はセンセーショナルであった禁止事項も今となれば、それが認められていたこと自体が驚くようになっている・・と言っていました。
よく、「百害あって一利なし」と言われるタバコですが、そもそも喫煙者と電子タバコ使用者(愛煙家)の3分の1以上は、喫煙量を減らしたいと考えていることは、DNF(喫煙者と電子タバコ使用者協会)の調査でわかっています。
この新たな禁煙スペースの拡大については、フランス人の10人に6人(62%)が公共の場での喫煙のより広範な禁止に賛成していると言います。これは国家タバコ規制プログラム(PNLT)2023~2027で計画された対策の一環です。