米禁煙政策後退の恐れ、厚生省職員削減響く-ケネディ長官に団体が警告

2025年5月28日 13:32 JST Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-28/SWXNOFT0AFB400

米厚生省で最近行われた職員の削減は、喫煙率低下を目指す長年の取り組みの成果を損なうばかりか、後退させる恐れがある。80余りの公衆衛生団体や禁煙推進団体がロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官宛ての書簡でこう警告した。

  米肺協会などが署名した同書簡は、疾病対策センター(CDC)内の喫煙対策部署と、食品医薬品局(FDA)のたばこ製品センターが骨抜きにされたことに懸念を示した。これらの部署でさらに解雇が進めば、未認可製品の摘発やたばこ企業の責任追及の取り組みに支障が生じると訴えた。

  同書簡はまた、FDAのたばこ規制業務は、たばこ製品を販売する企業から徴収する手数料によって全て賄われており、人員削減を行っても税金の節約にはならないと指摘した。

  最新のCDC統計によれば、喫煙はいまなお米国における予防可能な死因の第1位であり、喫煙・受動喫煙によって年間48万人超が死亡している。また、現在も1600万人余りの米国人がたばこ関連の疾病を患っているという。

  FDAは現在、違法なフレーバー付き電子たばこ(フレーバーベイプ)市場の急拡大にも直面している。多くが中国から輸入されたもので、特に若年層への影響が懸念されている。FDAの承認を受けていないフレーバーベイプが広く流通しており、未認可ベイプが市場の最大70%を占めるとの推計もある。

  連邦政府職員の削減や、「無駄」な公衆衛生支出の見直しを掲げるケネディ氏は、これらの人員削減がたばこ規制に与える影響について明確な見解を示していない。厚生省はコメントの要請にすぐには応じなかった。

原題:RFK Jr. Draws Ire for Tobacco Cuts Amid War on Chronic Disease(抜粋)