香港政府、たばこ規制法案の改正案を立法会に提出

2025年05月09日  Jetro https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/05/274ff04d76709e45.html

香港特別行政区政府は4月25日、新たなたばこ規制措置を実施するため、2025年たばこ規制法の改正案を官報に公布し、立法会に提出した。

衛生署は2024年6月、喫煙による社会的な危機を軽減し、公衆衛生の保持を目的とした包括的なたばこ規制戦略の概要を発表し、この中で10項目に及ぶ規制措置の導入を打ち出していた(2024年6月18日記事参照)。今回公布した改正案では、これら10項目のうち、次の8項目を改正する。

(1)たばこの印紙税の導入

輸入業者や地元製造業者に対し、たばこを販売目的で市場に出す場合には、包装に納税済みラベルを貼付するよう義務付ける〔2025年第3四半期(7~9月)にパイロットスキームを開始予定〕。

(2)税金未払いのたばこに対する罰則強化

罰則を200万香港ドル(約3,800万円、1香港ドル=約19円)の罰金と7年の禁錮刑に引き上げる。組織および厳重罪条例(第455条)で違法たばこ活動に関連する資産が凍結できるようにしたほか、税関職員への申告を怠った場合の罰金を5,000香港ドルに引き上げる(法改正と同時の即時発効を予定)。

(3)代替喫煙製品の所持禁止

公共の場での喫煙や代替喫煙製品(加熱式たばこなど)の所持を禁止する。違反した場合には3,000香港ドルの罰金(2026年4月30日施行予定)。

(4)無地包装の義務化

包装を統一したデザインにすることを義務付ける。また、ブランド名と製品名以外のロゴ、色、ブランドイメージと宣伝情報の包装表示を制限、または禁止する〔2027年第2四半期(4~6月)の印紙税制度と同時に施行する予定)。

(5)列に並んでいる間は喫煙禁止

指定された公共交通機関の乗車場所などで、2人以上が列に並んでいる間の喫煙行為を禁止。(病院や指定診療所など)歩行者の往来が多く、行列ができやすい場所を含む。違反した場合には3,000香港ドルの罰金(2026年1月1日施行予定)。

(6)法定禁煙区域の拡大

法定禁煙区域を指定施設(チャイルドケアセンターや学校など)専用の出入り口から3メートル以内に拡大する。違反した場合には3,000香港ドルの罰金(2026年1月1日施行予定)。

(7)18歳未満への喫煙製品の提供禁止

少量の従来の喫煙製品を提供した場合は3,000香港ドルの罰金、規定量の制限を超えた場合には最高2万5,000香港ドルの罰金、代替喫煙製品を提供した場合には最大5万ドルの罰金と6カ月の禁錮刑が課される。いずれも2026年1月1日に施行予定。

(8)味付き喫煙製品の禁止特定添加物などを含む従来の喫煙製品の販売を禁止。認証制度を導入し供給者は衛生署署長が発行する証明書を取得する必要がある。違反した場合は最大5万香港ドルの罰金と禁錮刑が課される見込み。

衛生署は、たばこが公衆衛生にもたらす脅威を減らすため、喫煙を抑制することで社会への有害な影響を最小化し、より積極的な対策を講じる必要があると強調した。

喫煙者擁護団体のスモーカーズ・インサイトの調査によると、回答者の25%がたばこ規制により「香港の活気が失われると回答し、喫煙者の権利を抑圧している」と見解を示した(「ザ・スタンダード」5月2日)。