投稿日:2025/4/4 https://japan-indepth.jp/?p=87070
世界禁煙トレンド:マレーシアたばこ陳列禁止、新たな一歩
【まとめ】
・マレーシアは4月からたばこ製品の陳列を禁止。
・これは世界保健機関(WHO)の呼びかけに呼応するものだ。
・WHOによると、喫煙率は世界的に減少傾向にある。
マレーシアの国営通信社であるBernamaの報道によると、同国の保健省は4月1日から全国の5万1千店舗を超える店でのたばこ製品の陳列を禁止する。
これは、昨年10月に「2024年公衆衛生のための喫煙製品規制法」が施行され、2025年1月1日より官民の職場とコインランドリーが禁煙場所に組み入れられた。また、電子タバコや電子喫煙器具を含むタバコ製品、喫煙材料、タバコ代替品の未成年者への販売が禁止され、18歳未満の者への喫煙サービス提供も禁止されている。
禁煙については、世界保健機関(WHO)も推進を各国に呼び掛けている。マレーシア保健省の動きはWHOの呼びかけに呼応するものだ。
■10月に完全実施を見込む
保健省は‶他国における有効性と実用性を考えると、陳列禁止を実施する最も適切な方法は、布製やキャンバス製のカバーをかぶせるのではなく、密閉されたキャビネットを使用すること〟とし、密閉キャビネットが仕様通りに設置されているかどうかの状況を厳重に監視する、としている。
保健省は、2025年10月1日からの完全実施を見込んでいる。
■WHO、従来からたばこへの「プレーンパッケージ規制の導入」を提唱
WHOは、2016年5月31日の禁煙デーに合わせ、同年のテーマを「Get ready
for plain packaging(無地の箱を用意しよう)」に設定した。タバコの箱から一切のデザイン要素を排除する、いわゆるプレーンパッケージ規制の導入だ。
マレーシアはこれに同調し、スブラマニアム保健相(当時)が、プレーンパッケージ規制の導入準備促進を約束した。同相は、マレーシアの喫煙者は500万人いて、男性の喫煙率は43%、女性の喫煙率は1.4%と指摘。タバコが原因で死亡する人が毎年、2万人に達しているとし、2045年までに喫煙率を5%以下に低下させる、と述べた。
2019年2月には隣国のシンガポールもプレーンパッケージングを義務付ける「改正タバコ法」を導入した。シンガポールは、タバコを吸う場所の規制など厳しい喫煙規制を早くから導入したことで知られる国。1990年代の後半に同国に駐在した折には喫煙しており、喫煙場所探しに苦労したものだ。
■世界の喫煙規制状況
WHOが公表している2024年版の世界保健統計によると、13億人と見られる世界の喫煙者のうち、低開発途上国と中進国の国民が80%を占めている。
WHO加盟国における喫煙率上位10か国は以下の通りだ(2022年度の推計値)。
1位がナウルで48.3%。2位がミャンマーで44.4%、3位がキリバスで39.7%、4位がパプアニューギニアで39.6%、5位がブルガリアで39.5%、6位がセルビアで39.5%、7位が東ティモールで38.7%、8位がインドネシアで38.2%、9位がクロアチアで37.0%、10位がソロモン諸島で36.9%となっている。
主要国を見ると、フランスが15位の34.6%、ロシアが34位の29.2%、米国とインドが53位の24.3%、中国が58位の23.4%、イタリアが64位の22.4%、韓国が81位の20.0%。日本は86位の19.2%。喫煙率が最も低いのはナイジェリアの3.3%。
WHOによると、喫煙率は世界的に減少傾向にあるとされる。
日本でも緩やかな減少傾向にあるとされ、厚生労働省発表の「国民健康・栄養調査」によると、2022年時点で習慣的な喫煙者(成人)の割合は14.8%。