「聞こえにくさ」は喫煙や、運動不足なども引き金に。子どものヘッドホン難聴も注意

2025/7/17(木)   家庭画報.com https://news.yahoo.co.jp/articles/8cdaa2e668811c633672164f01da72c5426ab235

知っておきたい女性のからだと健康 第7回(後編)

テレビのニュースは理解できるけれど、バラエティ番組での早口は字幕がないと理解できない、音量を上げないと聞こえない、子音が聞き取れないといった症状に気づいたら、難聴が始まっているかもしれません。東海大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授の和佐野浩一郎先生に聞こえにくさの原因や予防、対応策について伺います。

聞こえにくくなるのは年のせいだけではありません。生活習慣病の予防・治療、禁煙が難聴の予防につながります 聴力の低下に喫煙や動脈硬化がかかわっている

音は耳介で集められ、外耳道、鼓膜を通り、振動を増幅させる3個の耳小骨がある中耳に入ります。そして、振動は内耳に満たされたリンパ液中を波として移動し、蝸牛(かぎゅう)で電気信号に変換されて内耳神経を経て脳に伝わります。

難聴には、大きく分けて外耳道から中耳までの音の伝わりに支障が出る伝音難聴と、内耳などで音の感度が落ちる感音難聴があり、この2つが混合する場合もあります。いずれも聴力検査で診断がつきます。

伝音難聴は、中耳炎などの耳の病気や耳の奇形、耳あかが詰まっているといった原因で起こります。

 

感音難聴は、加齢、騒音や爆音のほか、喫煙、動脈硬化、糖尿病、摂取エネルギーの過剰、運動不足といった生活習慣が引き金になります。

難聴は、急性のものと慢性のものにも分けられます。

代表的な急性難聴である突発性難聴は、内耳に異常が生じている原因不明の感音難聴で、片耳が突然聞こえにくくなります。少しでも早い受診が治療の鍵で、遅くとも2週間以内に診察を受けることが大切です。和佐野先生の研究から、突発性難聴には動脈硬化がかかわっていることが明らかになっています。

一方、加齢が主因とされる加齢性難聴は慢性的な感音難聴で、両耳に起こります。

「聴力は、半年前と今は変わらなくても、5年前と比べると低下したというように長期間で少しずつ悪くなります」。

聞こえにくさの自覚もゆっくりで、テレビのボリュームを上げるようになった、聞き間違いが増えた、子音が聞き取りにくい(例えば、キムラさんとシムラさんとニムラさんという発音が聞き分けられないなど)、にぎやかなレストランでの食事中に相手の話が理解できないといった状況に気づいたときには聴力が下がっていることが多いのです。加齢性難聴にも生活習慣病や喫煙、食べすぎ、運動不足がかかわっています。

「難聴には遺伝的な要因や加齢が関連しますが、生活習慣を整えることで、それらによる影響をゆるやかにすることができると考えられます。タバコを吸わない、騒音や大音量の音楽を聞かない、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満を避けて動脈硬化を予防する、もしこれらの病気になったらきちんと治療するといったことが重要です」(後略)