EXPO2025大阪・関西
メタン避けて喫煙所 東ゲートの外に2カ所のみ 西側で事故、設置見送り
毎日新聞2025/4/29 https://mainichi.jp/articles/20250429/ddm/041/040/101000c
「いのち輝く未来社会のデザイン」をうたう大阪・関西万博の会場内は全面禁煙だ。喫煙所も東ゲート付近に2カ所しかない。大阪市内は全域が路上喫煙禁止となっており、歩きたばこもできない。愛煙家たちは広い会場を喫煙所に向かって移動する必要がある。そもそも、なぜ東側にしかないのか。あの問題が「飛び火」している。
開幕日の13日午後。万博会場の東ゲート付近にある喫煙所で、会場スタッフや来場者ら約60人が、たばこを吸っていた。
万博を運営する日本国際博覧会協会(万博協会)によると、喫煙所は大阪メトロ夢洲(ゆめしま)駅近くの東ゲート付近に2カ所のみ。この喫煙所は会場外にあり、吸い終わった後は、再入場の手続きが必要だ。
東西のゲートは、徒歩で15分ほど離れている。
西ゲート付近では、シャトルバスが発着するが、喫煙所がないのには理由がある。万博協会関係者によると、西ゲート近くで2024年3月、トイレの建設工事中に可燃性のメタンガスによる爆発火災が起きたことを考慮し、喫煙所の設置を見送ったという。開幕直前の25年4月6日にも、近くの電気設備の地下ピット(空間)で、引火すれば爆発を起こしうる最低濃度(5vol%)を超えるメタンガスを検知している。
万博会場の外に出ても、大阪市内全域で路上喫煙が禁止されている。市は1月27日、JR大阪駅周辺や戎橋・心斎橋筋周辺などに限っていた路上喫煙禁止エリアを、市内全域に広げた。万博のテーマを踏まえ、環境美化を目的としており、違反した場合は1000円の過料を科す。
市によると、過料の件数は、全面禁止後の1カ月間(1月27日~2月26日)で225件だった。全面禁止前の1カ月(24年12月27日~25年1月26日)の349件から減少した。違反者がいないか見回る指導員の男性も「路上喫煙者はかなり減った」とみる。
ところが、喫煙者の間には「喫煙所が足りない」という不満が強い。市は全面禁止に合わせ、目標の140カ所を上回る約180カ所の喫煙所を設置。さらにパチンコ店などの喫煙所を無料開放してもらい、計300カ所以上を確保した。しかし、公園内など繁華街から離れた場所に喫煙所があったり、絶対数が少ない「空白地帯」があったりするという見方がある。
また、訪日外国人客への周知が課題になりそうだ。欧米などでは、屋内は受動喫煙を防ぐために規制する一方、路上喫煙は認めるのが主流だからだ。
万博会場を訪れた業界関係者は、外国人客が喫煙所内に入らず、壁の外でたばこを吸っていたのを目撃した。西ゲートの近くで喫煙所の場所を尋ねる様子もみられたという。この関係者は「外国人客は路上喫煙のルールを知らない可能性がある。喫煙所の場所や使い方の周知を徹底することが必要だ」と指摘する。