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273 喫煙・飲酒の18歳解禁方針に抗議し、強く反対します
2015/9/2(水)18:42 - smokefree - 6569 hit(s)

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自民党の成年年齢に関する特命委員会(委員長・今津寛元防衛副長官 https://www.jimin.jp/member/officer/index.html#tab_03 の下に名簿)は2015/8/31、改正公職選挙法の成立で選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられることを踏まえ、民法上の成人年齢を「18歳以上」に改め、飲酒、喫煙の解禁年齢も現行の「20歳」から「18歳」に引き下げるよう政府に求める方針を固めた。と報じられましたが、本会は以下の抗議と反対の意見書を自民党の成年年齢に関する特命委員会及び政務調査会に送りました。

 2015/9/1  子どもに無煙環境を推進協議会


喫煙・飲酒の18歳解禁方針に抗議し、強く反対します

1.
未成年での喫煙・飲酒は、年齢が若いほどに健康への害は大きく、依存性も強くなり、容易に止められなくなることは既に周知のことです。
若者とその将来の健康のために、喫煙・飲酒の18歳解禁とは許されない施策です。

2.
「未成年者喫煙禁止法、未成年者飲酒禁止法」は
第一条 満二十年に至らざる者は煙草を喫することを得ず、酒類を飲用することを得ず
 としています。
従って、たとえ民法で「成人」の年齢を20歳から18歳に引き下げたとしても、即「満二十年に至らざる者」の第一条条項が変更されるはずのものではありません。

3.
これらの法律は、1900年、及び1922年に制定されましたが、未成年者喫煙禁止法の制定の経緯には以下のことがあります。(飲酒禁止法についても同様の経緯があります。)
「1899年に、帝国議会衆議院で、根本正議員ほか四名が「幼者喫煙禁止法」を提案しました。「近年、タバコを吸う者が増えている。このような神経をまひさせ、知覚をにぶくさせるものを小学生がたしなむのは良くない。喫煙者は体位が劣り、このままでは立派な軍人になれないではないか」というのが、その趣旨でした。
政府は当初、税収入が減るという理由で、この法律の制定には消極的でしたが、未成年者の体力が低下し、強い兵隊が得られなくなっては困るということで、制定に踏みきりました。
その後、第二次世界大戦後、この禁止法は、当初の強兵の名目から離れたものになりましたが、結果的に明日の日本を背負う未成年者の健康をタバコの害から守る防波堤となり、日本人の健康づくりに大きな役割を果たしてきました。日本の長寿社会の一因は、この「未成年者喫煙禁止法」も寄与していると指摘され、世界に誇れる法律といわれる理由です。」
http://notobacco.jp/kids/mamorutame/kodomono-.htm#1

4.
2012年に決められた国の「がん対策推進基本計画」及び「健康日本21計画(第二次)」では、喫煙に関わる数値目標として、以下が盛り込まれています。
(1)成人の喫煙率の低下(喫煙をやめたい人がやめる)
 19.5%(2010年)→12.2% 目標(2023年)
(2)未成年者の喫煙をなくす
 中学1年生 男子 1.6% 女子 0.9% 高校3年生 男子 8.6% 女子 3.8%(2010年)
 →0% 目標(2023年)
(3)妊娠中の喫煙をなくす 5.0%(2010年)→0%目標(2014年)

※飲酒についても、
 未成年者の飲酒をなくす
  中学3年生 男子 10.5% 女子 11.7% 高校3年生 男子 21.7% 女子 19.9%(2010年)
   →0%目標(2023年)
 妊娠中の喫煙をなくす 8.7%(2010年)→0%目標(2014年)
-----------------------------------------------------------

今回の自民党の成年年齢に関する特命委員会の喫煙・飲酒の18歳解禁方針(案)は、これらの健康にかかわる国の基本方針をぶち壊すことになり、後世にも多大な禍根を残すことにもなり、認めることは出来ません。

5.
2015年6月の厚生労働省の保健医療ビジョン2035提言では、
2035年のビジョンを実現するためのアクション(27ページ)
2035年に目指すべき姿
(4)「たばこフリー」社会の実現
 喫煙予防への介入は、疾病や死亡のリスクの減少や介入の費用対効果に関する科学的根拠が確立している。WHOは、2040年までに「たばこのない世界」の実現を掲げているが、我が国は、その前倒しを図り、2020年の東京オリンピック開催までに、受動喫煙のない「たばこフリー」オリンピックを実現することを目指す。このため、東京都と連携し、そのための法律的整理を速やかに行う。
 また、2035年までの早期に喫煙者自体をゼロに近づけるため、たばこ税増税、たばこの広告・パッケージ規制、喫煙者に対する禁煙指導・治療、子ども防煙教育のさらなる促進などのあらゆる手段を講ずる。

として、本提言をもとに厚生労働省内に実行推進本部が既に設置され、実行可能な短期の施策から着実に実施されつつあることからして、喫煙・飲酒の18歳解禁方針は、この国の前向きの動きを土台から覆すことになり、許されることではありません。

6.
2014/7/22に閣議決定された「健康・医療戦略」、及び「日本再興戦略」改訂2014(2014/6/24閣議決定)、改訂2015(2015/6/30閣議決定)において、「国民の健康寿命を1歳以上延伸」が2020年までの達成目標として掲げられていることからして、中長期的に「喫煙・飲酒の18歳解禁方針(案)」は健康寿命を縮めること必至であり、将来世代への罪悪的施策であってとうてい認めることは出来ません。

7.
たばこ購入年齢引き上げを提案=米医学研究所(2015年3月13日) http://jp.wsj.com/articles/SB10030317691824024149004580515103762666876
「米医学研究所(IOM)は、たばこを購入できる年齢を18歳以上から21歳以上に引き上げることを支持する報告書をまとめた。その理由として、早死にや低体重の赤ちゃんを減らし、15〜17歳で喫煙を開始する人を大幅に減らせることを挙げた。これは、議会が食品医薬品局(FDA)に調査を求め、FDAがIOMに委託した研究の結論だ。
…報告書は、年齢を21歳以上にすれば18〜20歳の年齢層に大きな影響を与えるとの結論を出した。
…ニューヨークやエバンストン(イリノイ州)、コロンビア(ミズーリ州)、マサチューセッツ州の約50都市などでは、最近最低年齢が21歳に引き上げられた。しかし、大半の州では18歳で、4州が19歳となっている。
IOMの報告書によれば、最低年齢を21歳に引き上げれば、喫煙者数は12%減少し、2000−19年生まれの人たちのたばこ関連の早死には24万9000人減少すると推定されている。また、早産児が約28万6000人、低出生体重児が43万8000人減少すると見込まれている。」

と報告されているように、国際的に喫煙・飲酒許容年齢を引き上げる動きがあり、18歳解禁は国際的な動向にも反するもので、国際的にも指弾され笑われることでしょう。この際、妊婦の喫煙禁止や、制限年齢(20歳)引き上げ、また家庭内における子どもの受動喫煙防止の義務化などこそ進めていただきたいです。

8.
なお、内閣府の2012年の世論調査では、20歳にとどめるべきとの回答が76%超で最多でした。

・ 喫煙・飲酒年齢、「20歳維持」8割 内閣府世論調査  日経 2012/9/6
 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0604X_W2A900C1CR8000/

 内閣府は6日、喫煙と飲酒の年齢制限に関する世論調査の結果を発表した。現在、20歳未満に禁じている喫煙と飲酒について、現行のままを支持する回答が喫煙で76%、飲酒で77%に達した。制限年齢の引き下げを容認する意見は喫煙、飲酒ともに1割前後にとどまった。

 内閣府が喫煙と飲酒の年齢制限に関する世論調査をしたのは初めて。政府は18歳以上に投票権を認める憲法改正の手続きを定めた国民投票法の施行に備え、民法で20歳と定める成人年齢の18歳への引き下げを検討している。今回の調査は喫煙・飲酒の制限年齢も同様に引き下げるかの判断材料にする。

 喫煙と飲酒の制限年齢を引き下げる利点については「特にない」との回答がともに約6割で最多。続いて「自分の行動に早期から責任感を持たせるきっかけになる」で、喫煙、飲酒とも約2割を占めた。

 引き下げの問題点については、喫煙では健康への悪影響が約7割で最も多く、次いで生活習慣の乱れが約6割に上った。飲酒では飲酒運転や暴行など治安上の問題増加をあげる意見が約8割に達した。

・「喫煙・飲酒の年齢制限に関する特別世論調査」の概要  内閣府 2012/9/6
 http://survey.gov-online.go.jp/tokubetu/h24/h24-nennrei.pdf


※日本禁煙学会他:喫煙年齢の緩和反対声明(2015年9月3日)
 http://www.jstc.or.jp/modules/information/index.php?content_id=22


〔ツリー構成〕

【273】 喫煙・飲酒の18歳解禁方針に抗議し、強く反対します 2015/9/2(水)18:42 smokefree (5482)
┣【277】 喫煙・飲酒の18歳解禁方針⇒見送りに 2015/10/22(木)17:38 smokefree (747)

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