(12)
 

 すると今度は、パオンくんがゆっくりと、こう言いました。
 

「だけどやっぱり、タバコを止められないんでしょう? お父さんだって、何度も、何度も、タバコを止めようとして、悩んでたの、ぼく知ってるよ。だけどタバコは、お父さんの体にも、周りのみんなや、自然や、空気にだって、害をおよぼすものでしょ。それにね、ぼくやお母さんだって、正直うんざりなんだ。家の中は、いつもタバコの煙でいっぱいなんだもの。そのせいでお母さんが作ってくれたごはんも、おいしく食べられないんだ。」
 

「それと、もう一つ考えてほしいのは、今、お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんのことだよ。おなかに赤ちゃんのいるお母さんが、タバコの煙を吸ってしまうと、赤ちゃんだって苦しがっているし、元気な赤ちゃんが生まれないことがあるって、学校の先生も言ってたよ。

 お父さんは、こんな煙だらけの家で、元気な赤ちゃんが生まれてくると思う? もうちょっと、みんなのことも考えてよ。」

 

 しばらくして、お父さんが言いました。
 

「ごめんよパオン。そしてみんなも。お父さん、タバコがどれだけ悪いものなのか、わかったし、自分のタバコを吸うマナーも良くなかった。

 ああ、パオンや森のみんなに教えられたな。みんな本当に今まで、ごめんよ。私は今度こそ、もうキッパリ、タバコを吸うのを止めるよ。もうじき、二人の子のパパになるのだから。」
 

 それを聞いたみんなは、心の底から喜び、元気な赤ちゃんが生まれることを願いました。