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みんなは脳みそくんの部屋につきました。ドアをたたいて中へ入ると、部屋の中はタバコの煙でいっぱいでした。

「うわあぁー」

と、みんなは叫びました。

「このにおいだ! この煙! この毒だよ! ぼくらを困らせているのは。」

と、みんなはまた叫びました。

「なんだい、きみたちは?」と、脳みそくんが言いました。

「ぼくたちは、きみの体の中の者たちだよ。」

「なにか、ぼくに用かい?」

「きみがタバコを吸っているおかげで、みんな病気になっているんだよ、脳みそくん。タバコを吸うのは、やめてくれないかい。」

「いいじゃないか、タバコくらい吸ったって。そんなに目くじらをたてることもないだろ。」

「みんなが、体のぐあいが悪くなって困っているのに、なんでタバコを吸うんだい。」

と、みんなが言いました。

「大人ってタバコを吸っているだろー。テレビや映画でも、有名な人がタバコを吸っているじゃないか。かっこいい俳優や、きれいな女の人もタバコを勧めているだろう。タバコってどんなに良いものなのか、ってぼくらが興味をもつのは当たり前だろ。

 吸い始めたころはむせたけど、その内、タバコの中のニコチンくんが、タバコ吸え!タバコ吸え!って、それはうるさくってねぇ。」

「それ、もしかしてニコチン中毒って言うんじゃない? ニコチンの言うままに吸っていて、ぼくたちが病気になったら、脳みそくん、きみだって病気になるんだよ。みんなが本当に困っているんだから、タバコを吸うのはやめてくれないかい。」

と、みんなが頼みました。

脳みそくんはちょっと考えました。

「それじゃ、本当にタバコが病気の原因かどうか、病院へ行って、お医者さんに聞いてみよう。そしてきみたちの病気も見てもらおう。」

「本当かい、それは。ありがとう、脳みそくん。」

それでみんなは、病院へ出かけました。